橙月水墨画教室 Sumi-e class in Tokyo

西日暮里と世田谷用賀で水墨画教室開催中です。 渋谷の国際墨画会では、英語クラスを担当しています。 Sumi-e class in Nishinippori and Setagaya (Yoga) in Tokyo. International Sumi-e Association in Shibuya, English class lecturer.

カテゴリ: アート探索 Visiting galleries & museums

銀座4丁目の名古屋商工会館にて、11月9日まで"The Mirror"というアートイベントが開催中です。

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http://the-mirror-ginza.com/outline/

銀座駅を降りてすぐ、和光近くの通りに建つ名古屋商工会館は、レトロな雰囲気たっぷりのすてきな建物ですが、残念ながら取り壊しが決まっているそうです。

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会期中は、その取り壊しになる直前の5階建てビル全部を使って、現代アート、建築、デザインなど様々な分野で活躍中のアーティストたちの作品を展示したり、参加アーティストたちを招いたレクチャーなどが開催されています。完全予約制で事前にチケットを購入した人しか入れないというシステムのため、混みあうことがなく、ゆっくりと作品を鑑賞したり、アートスペースを体感したりすることができます。

ビルの一部屋一部屋が展示室になっています。

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昭和レトロなドアや、フローリングの床など、とても趣のある空間に、現代アートの作品が不思議と調和しています。

名和晃平さんの作品
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土屋公雄さんの作品。
会議室の天井から、椅子がいくつもぶら下がっています。
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渡辺元佳さんの作品。
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流麻二果さんの作品
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アートな空間の本屋さんもオープンしています。
「おー!これは読んでみたい!」という、個人的に萌え萌えなマニアックな本がずらり。

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今回は、前にアトリエで一緒だった画家のフランシス慎吾さんがレクチャーに登場するとのことだったので、その日にあわせてチケットを予約してみました。

同じく画家の堂本右美さんとのジョイントレクチャーで、司会はイベントを総合プロディースされた清水敏男さんです。

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レクチャーが行われた部屋には慎吾さんの絵が一面に飾られていました。彼の作品における色は、描いた時の自分の感情を表現しているそうです。

the mirror8

「ミニマリズムを通じ、70年代に絵の可能性は行きつくところまで行った。私たちはそこからスタートしている」とレクチャー中に話がありましたが、「絵は死んでいないと思う」という慎吾さんの言葉が心に残りました。

そして、今回も面白い書を発見しました!
以前、国立新美術館の毎日展で出会ったミロの書も衝撃でしたが、今回の書もかなりインパクト大でした。

ウッディ・アレン書 「おいしい生活」(1982年)

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糸井重里さんによるキャッチコピーで、アートディレクターの浅葉克己さんが手がけた西武百貨店のポスターに使われた作品です。

作品をじっくり鑑賞するというだけでなく、空間そのものを体感するという作品も多く、イベントスペースそのものがとても魅力的な展覧会でした。

アクセスも便利なので、現代アートにご興味のある方はぜひ。ただし、チケットは事前に購入しないと入れないのでご注意下さい。

とあるミュージアムショップの一つで、ある日出会った鍬形蕙斎(クワガタケイサイ)の版画集復刻版。
http://www.unsodo.net/search/info.php?isbn=9784753812967

シンプルな筆の線で描かれている動物たちのあまりの可愛さに、目にした瞬間にすっかりとりこになってしましました。

鍬形蕙斎(1764-1824)は、北斎にも影響を与えたと言われている江戸時代の浮世絵師です。
日本ではそれほどメジャーではありませんが、フランスでは人気があって、数年前にはフランス語版の復刻本が発行されたようです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%B0%BE%E6%94%BF%E7%BE%8E
http://matome.naver.jp/odai/2134995497256483901

2011年発行の復刻版も可愛いですが、手のひらサイズの豆本なので、もっと大きなサイズで見たいと思って調べてみたら、それほど数は多くありませんが、古書店のネットショップに略画式が出回っていました。

初版本は数十万もして手が出ませんが、そうでないものは、江戸時代のものでも、服を買うのを少し我慢したり、飲みに行くのを数回我慢すれば(←こっちはけっこう辛いけど)買えなくもないほどの価格です。

かなり迷って、鳥獣略画式を購入しました。発行年は1813年です。蕙斎が生きていた頃に発行されたものだと考えるとちょっとドキドキします。

ページをめくると、蕙斎ワールド。
なんなんでしょう、この可愛さは。

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単純な線に愛情とユーモアが凝縮されていて、魅力満載です。
Keisai2

Keisai3

お尻が可愛い!
この描写力、天才的です。
Keisai4

Keisai5

Keisai5

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さらにこの後ヤフオクで、人物略画式と山水略画式の昭和に出版された復刻版が1200円で出ているのを発見!
和綴じ本で、サイズはB5くらい。江戸時代のオリジナルと同じ大きさです。

Keisai8

状態も良好だし、古書ネットショップでは同じものが10倍くらいの値段で売っていたので、これはかなりお得です。ヤフオク、初めて利用してみたので少し不安でしたが、入札者は他に誰もいなかったので、そのままの価格で落札することができました。

人物略画式
人間も可愛い。
人物略画式

これでしばらく買い物と飲み会はお預けです。。。

国立新美術館の毎日展では、昨年同様併設の企画展が開催されていますが、今回は「毎日書道 海外展のあゆみ」として、世界37都市で展開してきた交流事業を紹介すると共に、昨年のパリ展で出品された作品が展示されました。

そしてなんとびっくりしたことに、入り口付近にはミロの書が!!!
ミロは大好きな画家の一人ですが、彼の書が展示されているとは驚きです。
1966年に来日した際、毎日新聞社の新社屋完成を祝って「祝毎日」と、墨で書いた作品だそうです。

ミロの書
© The Mainichi

これを機に、諸芸術を通じた交流文化の構想がふくらみ、70年にパリ展が開催され、以降、世界各国で海外展が開催されてきたとのことです。

http://sp.mainichi.jp/shimen/news/20140711dde012040017000c.html

ミロの書、線にも温かみがあって、なんとも味のある作品です。

前衛書のように「祝毎日」と独特のフォルムに変形された文字が紙面に配置されていますが、画面いっぱい「ミロの世界」になっているところがすごいです。

漢字を書いてるのに、どこを見ても「ミロ色」。
いやぁ、ほんとにすごいです。

Joan Miro
http://matome.naver.jp/odai/2134029483591764101

六本木の国立新美術館にて、8月3日まで毎日書道展が開催中です。

http://mainichi.jp/feature/news/20140710k0000m040038000c.html

http://www.nact.jp/

第66回を迎える今年の毎日書道展は、総出品数が3万3000点を上回り、清和書道会からは304点(うち4点はU23)の出品があり、16点の入賞がありました。

「毎日賞」を受賞した清和書道会の宮崎洋流幹事の作品。
宮崎洋流

それにしても、前回初めて来たときも思いましたが、とにかく数がすごいです。
国立新美術館の3フロアを使って、112部屋に、作品がぎっしり並んでします。

66回毎日展1

全部見るのは無理なので、取り急ぎ自分のついている先生や知り合いの作品がどの部屋に展示してあるか入口で調べてもらい、その作品を見に行き、後は入口付近の偉い先生方の作品を中心に見ることにしています。

正直、書の鑑賞に関してはよく分からないことだらけなので、なるべく多く本物の作品を見て、目を肥やすべく日々修行中です。

66回毎日展2

そんな修行中の身ではありますが、このような現代書壇の方々の作品が並ぶ展覧会でいつも目を引くのが小山やす子先生の作品です。小山先生の作品はいつ見ても「お!」と心惹かれます。

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繊細で優雅で本当に美しいです。
料紙の色の組み合わせもお洒落だし、近代詩文書や前衛書や現代的な作品が多い中、伝統美と見事に融合した作品が際立っているように感じます。

66回毎日展4

66回毎日展5

清和書道会創設者の植村和堂の作品も、いわゆる古典の正統派です。伝統を継承した書体は美しく、見るものを魅了しますが、習うのはかえって難しく、同じようにはなかなか誰も書くことができません。

和堂作品

伝統的な美を継承しつつ、新しいものを作っていく。
書道だけでなく、芸術の世界では共通のテーマですが、とてつもなく難しいことだなぁと思います。

富岡鉄斎(1836-1924)展が、出光美術館で8月3日まで開催中です。

http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

鉄斎の絵を初めて見たのは、テレビで見た富士山図屏風。
http://www.asahi.com/kokka/masterpiece/6.html#1

「これが富士山?」(「全体像を見る」の、左側の富士山頂上をアップで描いた図)と、ものすごい衝撃を受け、感動したのを覚えています。
今まで見たこともない幻想的かつ不思議な迫力のある絵にすっかり魅了され、いつか兵庫県の鉄斎美術館に行ってみたいとずっと思っていたので、このたび出光美術館で没後90年展を開催すると聞いた時は思わず小躍り。

鉄斎は幕末・明治・大正を生きた文人画の巨匠で、理想郷を描いた書画を多く残しています。

鉄斎独特の書と絵の世界に引き込まれます。
鉄斎2

彼の描くユートピアには、「見たことのない岩山」、「滝などの水」、「自分が住むことのできる庵」が、そして手前には、こちら側と向う側の世界を隔てる印となっている、「水辺や舟とそれにかかるアーチ型の門」が描かれているとのことです。

こちらは鉄斎最晩年、88歳の作品「蓬莱仙境図」。思うままに筆が流れ、抽象画を見ているような感じです。摩訶不思議なエネルギーに包み込まれそうになります。
鉄斎3

鉄斎、理想郷の書画の他にも、ユーモアや人間味に溢れた作品を数多く残しています。人間や動物の表情がとにかく魅力たっぷりで可愛いです。

鉄斎5

鉄斎8


鉄斎4

どれも思わず笑顔がこぼれるすてきな作品なのですが、今回特に立ち去りがたかった作品は、大きな屏風に描かれた「放牛桃林図」。

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鉄斎6

山と、桃の木と牛が描かれた大きな屏風が二つ、L字型に展示されています。遠くの山の景色が右側に、中央に行くに従って近くの景色が描かれているので、屏風手前からゆっくりL字型に沿って歩いて行くと、遠くの景色から理想郷の世界にあたかも自分が入り込むかのような、粋な工夫が展示に活かされています。

牛の表情がなんとも可愛いです。
鉄斎8

鉄斎9

展示の作品は全て出光美術館の所蔵ですが、同美術館で鉄斎展が前回開催されたのは10年前。今後もいつまた開催されるかは未定とのことでした。すばらしい作品ばかりなので常設展でも見られたらよいのですが、今のところその予定はないそうです。

あと1週間ちょっとの展示期間となってしまいましたが、ご興味ある方は、鉄斎の世界にどっぶりと浸れるすばらしい展覧会なのでぜひ行かれてみてはいかがでしょう。

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