橙月水墨画教室 Sumi-e class in Tokyo

西日暮里と世田谷用賀で水墨画教室開催中です。 渋谷の国際墨画会では、英語クラスを担当しています。 Sumi-e class in Nishinippori and Setagaya (Yoga) in Tokyo. International Sumi-e Association in Shibuya, English class lecturer.

カテゴリ: アート探索 Visiting galleries & museums

8月9日まで、目黒雅叙園の百階段で「和のあかり」という特別イベントを開催中です。

https://www.megurogajoen.co.jp/event/wanoakari/

昭和3年創業、「昭和の竜宮城」と呼ばれた目黒雅叙園は、平成3年に全面改装しています。
「百階段」のエリアは、唯一現存する、昭和10年築の木造建築で、7つの部屋を、その名の通り百段の階段が結んでいます。

雅叙園

かつての宴会場だった各部屋の天井や襖、柱などは、一流の芸術家による豪華な花鳥画、螺鈿細工、風景画、美人画などの装飾で埋め尽くされていて、息をのむ美しさです。

天井いっぱいに描かれた四季の花鳥画。
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柱には豪華な彫りが施されています。
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かつて使用されていたトイレの天井画!
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トイレの窓枠もすてきです。
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廊下の窓枠もお洒落。
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この普段は見学することのできない東京都指定有形文化財「百階段」のエリアが、イベント期間中「和のあかり」に照らし出され、一般に公開されています。しかもフラッシュをたかなければ撮影も自由!

「ねぶた祭りのあかり」をテーマにした部屋。
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「和紙のあかり」テーマにした部屋。美濃和紙を使ったあかりが美しいです。
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「夏のあかり」をテーマにした部屋。江戸風鈴が部屋いっぱいに吊るしてあって涼しげです。
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「山口県・柳井市金魚ちょうちん祭りのあかり」をテーマにした部屋。
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7つの部屋それぞれにテーマがあり、豪華な装飾で埋め尽くされた贅沢な部屋を、温かい和のあかりが照らし出しています。夏にぴったりの体験型の展覧会で、一見の価値があります。

展覧会の後には、眺めが美しい雅叙園のカフェでゆっくりお茶を飲みながら休憩するのもおすすめです。暑い夏の一日が優雅に過ごせること間違いなし😊

雅叙園10

ロンドンから北へ長距離列車で約3時間。
スコットランド国境にほど近い場所に、ニューキャッスルという街があります。

【ニューキャッスルの街並み】
newcastle1

鉄道の父と呼ばれる鉄道技術者のジョージ・スティーブンソンや、ミュージシャンのスティングの出身地です。

ここに、BALTICという、コンテンポラリーアートの発信を目的とした、展示・イベントスペース、アーティストスタジオ、レクチャースペース、図書館、ショップ、カフェ等を完備した施設があります。2002年オープンという比較的新しい施設ですが、昔の製粉工場を改装しているため、外観は趣があります。

入館料も、特別展も、レクチャーも、すべて無料です。

baltic

私が訪れた時は、アイルランドとアメリカのアーティストの特別展を開催していました。
欧米の博物館や美術館に行っていつも思うのが、展示物と鑑賞する側の距離が近いことです。
特に、小さい子どもたちが本物のアートをごく身近に感じることができる機会が多いのはすてきなことだなと思います。

私が訪れた時は、アイルランドのアーティストの特別展を開催していました。

新聞のスクラップを切り貼りして作品を作るアーティストなのですが、下の写真は、子どもたちがそれを真似て、新聞の切り貼りをしてオリジナル作品を作っている様子です。

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一般のお客さんも、普通に鑑賞しています。
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こちらは、赤ちゃんを連れてママ友たちが集うことのできる、絵本図書館と遊戯スペース。
奥は小さな展示会場になっていて、ここでも特別展を開催していました。
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1階にはお洒落なカフェとショップがあり、川を眺めながらのんびりすることができます。
地元の人たちの憩いの場所にもなっているようで、すてきな空間でした。

ちなみに余談ですが、ニューキャッスルから電車で10分くらい南に行ったところに、映画「リトル・ダンサー」や、「ハリーポッター」の舞台にもなった、ダーラムという町があります。小さな町ですが、大聖堂や古い町並みが美しく、素通りしてしまうのがもったいないくらいすてきな場所です。ロンドンから北へ観光される機会があって、時間に余裕がある方にはおすすめです。

【ダーラム大聖堂】
ダーラム

ロンドンのナショナルギャラリーは、2300点を超えるコレクションを所蔵する、世界でも有数の美術館です。

主な所蔵品は13世紀から20世紀前半の絵画作品で、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ルーベンス、レンブラント、フェルメール、モネ、ゴッホ等々……名だたる名画を無料で鑑賞することができます。

ナショナルギャラリー

しかし要注意なのは、近頃多いという職員のストライキ。
私が行った時も3分の1ほどの部屋がクローズしていまいた。

ナショナルギャラリー2

運悪くその日にぶつかってしまった場合、日程をぎりぎりで組んでいる観光客には痛いですが、
ストのお知らせはナショナルギャラリーのサイトで通知がでるようなので、事前にチェックも可能です。

http://www.nationalgallery.org.uk/strike-action

3分の1がクローズといっても元々の所蔵品が膨大なので、「お目当ての絵だけを見にやって来たのにそれが見れない!」という状況を除けば、開いてる部屋の作品を鑑賞するだけでも十分楽しめます。

いつも大人気の印象派の部屋。
ナショナルギャラリー3

大好きなルドンのオフィーリア。これが見られただけでも大満足。
ナショナルギャラリー4

特別展も常に開催されています。私が行った時には、「サンソヴィーノ・フレームという」、ヴェネツィアを始めとするヴェネト州で16世紀半ばに作られた額縁に特化した展覧会をしていました。こちらは9月まで開催されているようです。

広い部屋に、絵の入っていない額縁だけがずらりと並んでいます。

来場者「何故絵を入れないんだ?」
係員「いや、これは額縁の展覧会だから」
という会話がそこかしこで交わされているのが面白かったです。

ナショナルギャラリー5

額縁だけに集中して注目する機会なんてほとんどないので、これが思いのほか面白く、目からウロコの展示会でした。
書道と水墨画を始めてから、和の作品を洋のテイストで飾ってみたいと思うようになり、最近額縁に興味を持ち始めたところだったのでとても勉強になりました。

サンソヴィーノ・フレームは渦巻模様が特徴とのことで、どこかモダンな雰囲気も漂わせていて、とてもお洒落です。

ナショナルギャラリー7

額縁に注目しながら絵画鑑賞すると、また違った側面が見えてきて面白いです。

ダヴィンチ「岩窟の聖母」。立派な額!
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クラナッハ「ヴィーナス」。シンプルだけど、クラナッハの絵にしっくりきています。
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こちらもクラナッハ。
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ボッティチェリ。デザインの模様が可愛い。和の絵にも合いそうです。
ナショナルギャラリー8

印象派以外の部屋は人もまばらなので、日本に来たら3時間待ちしそうな絵も、間近でじっくり見ることができます。
写真やスケッチもオッケーです。

日本語ページはこちら。
http://www.nationalgallery.org.uk/visiting/visiting-japanese/

ナショナルギャラリー9

ロンドン郊外に住む友人の、小学生の子どもが通っているアートクラス。

The Art Class
http://www.the-art-class.com/home/4573158578

このクラスで子どもが作った作品を、友人がFBでアップする度に「可愛い!」と注目していたのですが、今回は友人宅に飾ってあった実物を拝見することができました。

どの作品もセンスがよくてお洒落で、とても小学1年生の子が作ったものとは思えません。

木と小枝と紙粘土で作ったロビン。
ロビン

横から見ても可愛い。
ロビン2

こちらは、古着を使って作ったリース。
サイズが小さくなって着なくなった子ども用Tシャツやシャツなどを裂いて、ベースの輪っかに結ぶだけというシンプルなものですが、とっても素敵です。
リース

以下の作品はサイトの画像から。

ウォーホルの画風を学びながら、ウォーホル風オリジナル作品制作。
小学生の作品とは思えないくらい、シュールで味があります。
artclass2

ウォーホル

こちらはバンクシー版。
バンクシー

楽しくアートを学びながらこんなお洒落な作品が作れるなら、大人の自分もやってみたくなります。

いつか自分でも、ジャパンバージョンでこんな風な面白いクラスができたらなと思います。
日本は漫画文化があるので、鳥獣戯画を模写しながらオリジナル動物漫画の制作を墨で描いてみるとか、どうでしょう?
子どもたち、かなりオリジナルでユニークな作品を作ってくれそうですよね。
今度姪っ子たちでトライしてみようかな。。。

欧州旅行の時差ボケもようやくおさまり、日中のあくびの回数が減ってきた今日この頃。
少しずつ、ロンドンとミラノで行ってきた美術館や博物館、その他アートの色々をご紹介をしていきたいと思います。

その① 大英博物館

現在上野の都美術館でも大英博物館展が開催されていますが、その収蔵品は約700万点!圧倒的な規模のコレクションを誇る世界を代表する博物館です。故植村和堂先生も「1日中いても全然飽きない!1週間通い続けてもまだ足りない!」というくらい大英博物館が大好きで、ロンドンを訪れた際は必ず足を運んでいました。

britishmuseum

東京都美術館「大英博物館展」
http://www.tobikan.jp/exhibition/h27_history100.html

大英博物館オフィシャルサイト
http://www.britishmuseum.org/visiting.aspx?lang=ja

観光客に人気のロゼッタストーンやエジプトのミイラなどを始めとする世界中から集められた膨大な数の常設展に加え、通年、有料と無料の特別展も開催されています。

britishmuseum2

私が訪れた時にやっていたのは、有料の特別展が3つと、無料の特別展が5つ。

そのうち、オーストラリアのアボリジニ文化を紹介する展示会(有料)と、ペルシャとインドのスーフィ―(神秘家)をテーマにした細密画コレクションの展示(無料)は興味のある分野だったので、ロンドンに行く前からこれは絶対に行こうと決めていました。

現在、東京国立博物館の鳥獣戯画展では4時間待ちも当たり前という行列のすごさが話題になっていますが、イギリスの主要な博物館や美術館の特別展は大概チケット制です。事前にオンラインやチケットオフィスで日時を指定し、チケットを購入します。この方法のメリットは、並ばなくてすむことと、厳しい人数制限をかけているので、会場内も比較的余裕をもってゆっくり鑑賞できるところ。デメリットは、人気の展覧会はチケットがすぐに完売になり、購入できなかった人は行くことができないこと。どちらがよいかは賛否両論でしょうが、並ぶのが嫌いな人と、作品をゆっくり鑑賞することを優先したい人には有難いシステムです。

アボリジニ展は、教育面をかなり重視した展覧会でした。
アボリジニアートと共に、パネルを使って歴史を紹介したり、映像を流したり。

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アボリジニアートに影響を受けて絵を描いている友人は、普段展示されていない貴重なアボリジニアートのコレクションを見たいと大英博物館に日本からレターを書いたところ、個人的に見せてもう機会を設けてもらうことができたそうです。そういった個人的なリクエストにも応えてくれるところはさすがです。

こちらはペルシャの神秘家をテーマにした細密画の特別展より。

西洋の絵画と異なり、輪郭を大切にした優美な筆づかい、二次元的な構図など、日本画との共通点も多く、とても勉強になります。鮮やかだけれども品のある色使いもすばらしいです。

『洞窟の聖人を訪ねる廷臣』 1500年代イラン
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『踊るデルヴィーシュ(托鉢僧)と音楽家』 1600年代イラン
額の使い方がお洒落です。
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大英博物館に行くと必ず行くのが、ミイラの横に位置する、メソポタミアと古代レバントの展示室。

ミイラの展示室が人でごった返しているのに比べ、こちらはいつでもガラガラです。心をわしづかみにされるキュートな展示物(かなり個人的趣味ですが)がてんこ盛りで、展示室にて一人興奮気味。

紀元前1200-900
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紀元前2000-1750 
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紀元前1400-1150 棺桶の蓋
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紀元前1792-1750 夜の女王
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紀元前3300-3000 Eye figurines
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そして個人的に大英博物館のクライマックスは、アッシリアの門と彫刻群。圧巻です。
しかもここもいつもがらがら!
今ではオリジナルの国には行けなくなってしまったので、とても貴重な資料です。

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とにかく広いので、何を見たいか事前にターゲットを決めて行かないと、ひじょうに疲れます。
また特別展も多いので、事前にオンラインでチェックして内容や日程などを調べていくのがおすすめです。
写真やスケッチもOKなので、時間をゆっくりとって、カメラとスケッチブック片手に作品作りの構想を練ったりするのにも最適です。

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