書と水墨画 Japanese Calligraphy & Sumi-e

2013年から書道と水墨画を始めました。現在は、水墨画講師をしています。

カテゴリ: アート探索 Visiting galleries & museums

「世界を変える美しい本」という、タラブックスの絵本を紹介する展覧会に行ってきました。タラブックスとは、美しいハンドメイドの絵本を作っている南インドの小さな出版社です。
世界を変える美しい本ポスター足利

インドの民族画家による絵を、少し厚目の風合いのある手漉きの紙に、シルクスクリーンで一枚一枚職人さんが刷り、糸で製本した、工芸品のような絵本を製作しています。オールハンドメイドで、1冊1冊にシリアルナンバーが入っています。

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画像: インド・タラブックスの挑戦 より(写真:松岡宏大)

初めてタラブックスの本に出会ったのは、京都の恵文社という、本のセレクトショップでした。アンティーク風の内装に、思わず手に取りたくなるような面白そうな本や、センスの良い雑貨が所狭しと並べられていて、ギャラリーも併設されているお洒落な本屋さんです。

そこで出会った、タラブックスの「夜の木」。

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ページをめくると、インクのいいにおいが漂ってきて、なんともいえない味わいがあります。絵の一枚一枚が、今まで見たことのない不思議な世界で、すっかり魅了されてしまいました。

夜の木

そんなタラブックスが出版する絵本を紹介する展覧会が、全国を巡回中なのですが、東京での展覧会に行きそびれ、現在は6月まで栃木県の足利市で開催中とのことだったので、足利市立美術館まで足を運んできました。

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今までタラブックスが出版した絵本の原画や絵本が多数展示されていて、とても見ごたえのある展覧会でした。

「夜の木」原画
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「太陽と月」原画
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日本語版「太陽と月」。夜の木同様、日本語版はタムラ堂さんが発行しています。
太陽と月


インド西部、ワールリー族の画家による絵
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インド版「ピノキオ」
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インド中央部、ビル族の画家による絵。
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インド西部、ミーナ族の画家による絵。
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インド東部、ミティラー画の女性アーティストによる絵。
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インドの民族画は、伝統的なパターンや図柄がベースになっていますが、それぞれのアーティストがとても自由に、活き活きとしたタッチで、私たちが学校で習う西洋画とは全く別の表現方法で独自の世界を創りだしているのが大きな魅力です。

6月2日まで足利市立美術館で開催し、その後は京都と福岡に巡回予定とのことです。

足利といえばフラワーパークが有名なので、こちらもちょうど藤が見ごろだったので立ち寄ってみました。藤が咲いている期間中は朝7時から開園とのことなので、平日8時ごろに行ってみたら人があまりいなくてゆっくり見ることができました。展覧会とフラワーパークをセットにするのであれば、朝早くに藤を見てから美術館に行くのがおすすめです。

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先月末まで東京国立博物館で開催されていた顔真卿展。

顔真卿

「書道をやっているなら絶対行っておいた方がいい」と色々な人に言われていたものの、混んでいると聞いていたし、正直(書道を勉強してはいるものの)漢字を見てもよくわからないし、わざわざ出かけるのはめんどくさいな、、、というのが正直なところでした。

でも結果は、行って本当によかったと思えた展覧会の一つになりました!

台湾の故宮博物院所蔵の、日本初公開、唐時代の僧、懐素による「自叙帖」には特に目が釘付けになりました。

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「酒を飲んで自己を解放し、草書で胸懐を吐露した」という懐素。文字がまるで生きているよう、とか、踊っているよう、とか、紙から直にエネルギーが伝わってくる、というような表現はよく聞きますが、書を鑑賞して、それをここまで強烈に感じたのは初めてでした。書のことがよくわかならくても、紙面を通じて何かが伝わってきて、大きく心を揺さぶられました。

展覧会目玉の、顔真卿の「祭姪文稿」は、展覧会場内でそれを見るための列に並ぶこと20分、やっと順番が回ってきて見ようとしても、係の方に「立ち止まらないでください!」を連呼されるので、素通り状態。鑑賞するというより、まさに「見た」というだけでした。

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それに比べ、懐素の書は並ばずにじっくり見ることができたのもよかったです。

「自叙帖」は本も売っていますが、このような長い巻物は、右から左へ、全体の流れを感じるのが醍醐味だということが、会場に足を運び、実物を見てよく分かりました。

本のコピーを貼り合わせたハンドメイド自叙帖:))
自宅で懐素ワールドに浸れます!
臨書にも役立ちそうです。

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3月24日まで、六本木の森アーツセンターギャラリーで、新北斎展が開催中です。

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北斎と言えば、「富嶽三十六景」や「北斎漫画」が有名ですが、75歳から亡くなるまでの晩年に描いた肉筆画が見られると聞いたので、絶対行きたいと思っていた展覧会です。「あと10年、いやあと5年命が保てば真正の画工になれたのに」と言い残し、90歳で息絶えたと言われている北斎。1983年に西新井大師の物置から発見されたと言われる「弘法大師修法図」など、晩年とは思えない迫力の作品が展示されています。

弘法大師修法図
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北斎展としてはかなり規模の大きな展覧会なので、一見の価値があるとおすすめしたいのですが。。。

会期後半に入っていることもあり、とにかく人が多いです!

平日の午前中に出かけましたが、チケットを買うだけで60分待ち、入場するのに30分待ちと言われげんなりです。土日はもっと混雑するとのこと。ツイッターの「新北斎展」公式アカウントでも混雑状況を随時アップデートしているので、参考にされてもいいかもしれません。日によってまちまちとのことでしたが、夕方以降の方が、比較的すいているらしいです。

もし興味がある方は、事前にチケットを手元に用意してから行くことをおすすめします。森アーツセンターギャラリーがある六本木ヒルズ内のオフィスビル4階にナチュラルローソンがあるので、チケットを持たずに会場に行ってしまっても、ローチケで購入した後、そこで発券するとスムーズです。

どの展覧会もそうですが、行くなら会期前半の、なるべく早めに行った方が空いてていいですね。新北斎展とセット券として一緒に販売されている、東京都美術館で開催中の「奇想の系譜展~江戸絵画ミラクルワールド」も、4月7日までなので、もし行く予定がある方はなるべく早めに予定をたてられた方がよいかもしれません。

2月5日から28日まで、銀座のエルメスで面白いイベントが開催中です。

「ピアニスト」向井山朋子展@銀座エルメス

ピアノ数台を配置したインスタレーションが目を惹く空間で、オランダ在住で世界的に活躍されているピアニストの向井山朋子さんが、展示期間中、毎日時間を少しずつずらしながら演奏していくという趣向です。演奏時間は1時間ほどですが、午後3時にスタートの日もあれば、夜中の3時にスタートの日もあります。

写真は公式ホームページより
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あまり知られていませんが、エルメスの他にもシャネルやディオールなど、ハイブランドのフラッグシップショップにはアートイベントやコンサートを開催するホールが設けられていて、そこで多くは無料のイベントを開催しています。

シャネル ネキサスホール

今月エルメスで開催のイベントも無料で、誰でも予約なしにピアノ演奏を聴くことができます。

私が行った日は、夜の7時からの演奏開始でした。会社帰りに寄れる、ちょうどよい時間だったので、ホールは満席状態でした。

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観客もアートの一部になるというコンセプトなので、椅子が用意されているわけではなく、それぞれ好きな場所で床に直接座ります。希望する人にはブランケットを配布してくれます。

ピアニストご本人の書き込みがびっしりの楽譜も間近でみることができます。
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この日の演奏は、シメオン・テン・ホルトのミニマルミュージック。会場の独特な雰囲気と相まって、幻想的な演奏に惹き込まれます。
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人が多かったのがネックでしたが、「飲んだ帰り、夜中にふらりと立ち寄ってみたら人もまばらでほぼ貸し切り状態…」みたいな状況だったら、感激もひとしお間違いなしです。

なかなか夜中や明け方は行くのが難しいかもしれませんが、月の後半は午前中に演奏する日もあるので、ご興味あれば是非。

私がよく聞いているラジオのプレゼンターの林田直樹さんと、ギタリストの鈴木大介さんによる、フラメンコギタリスト・カニサレス2018来日記念トークイベントに行ってきました。

カニサレス2018来日公演

現代フラメンコギターの最高峰と言われているカニサレスですが、私は以前民放バラエティーで日本人の奥様がどうやって彼と知り合って結婚に至ったかという番組を見て名前を知っていたただけ。

世界の日本人妻は見た

ほとんど前知識もなくイベントに参加したのですが、林田さんと鈴木さんのトークに引き込まれたということもあって、すっかりカニサレスの世界に魅了されてしまいました。

「鷹が獲物を狙うような」という表現をされていたカニサレスの演奏。厳格なリズムと、色気のある音色。

フラメンコの音を「洞窟の中の影」、クラシック音を「太陽の光」に喩え、両方の調和と融合を追求したという、カ二サレスの新作アルバム「洞窟の神話」の話では、鈴木さんが実際に「影」の和音と、「光」の和音をギターで再現してくれました。カニサレスは、その二つの和音を曲中で重ねるという斬新な試みをしているとのことで、CDをかけながら「この曲の最後のこの部分!」という鈴木さんの言葉に、「ほー、なるほど。言われなくちゃわからないけど、言われて聞くとなるほど」と、耳を傾けます。

カニサレス新作アルバム「洞窟の神話」

プリミティブなものが未来的なものにふと現れ、新しいけれど伝統に根差した芸術。
複雑に聞こえるけれど、元を辿ると、とてもシンプルな音。シンプルだからこそ出せる透明感。

トーク中は、絵や書の世界にも通ずるキーワードがたくさん出てきて、とても刺激になりました。

今年の来日公演では、カニサレスの他に、歌、舞踊、パルマ(手拍子)が加わり、5名による公演になるそうです。それぞれが自分のダンスカンパニーを持っているような超一流のアーティストとのことで、ご興味ある方はぜひ。







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