上野の東京都美術館にて9月22日まで開催されていた、「ポンピドゥー・センター傑作展」に行ってきました。
1977年、パリに開館したポンピドゥー・センターのコレクションより、1906年から1977年までの作品を1年ごと1作家1作品を紹介するという展示会で、フランス近現代美術の流れが一望できるという内容です。

コンセプトに合わせ、動線もとても工夫されていました。
時代の流れに沿って、会場を効率よく巡ることができます。

ポンピドゥー展1

各アーティストの名言が作品と共に添えられていたので、言葉と絵を一緒に見ることができるのも楽しかったです。
刺激になる言葉がたくさんありました。

コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)
「呼吸するように創造することができたなら、それは真の幸福でしょう。そこに到達すべきなのです」
ポンピドゥー7

そういう境地にいつか到達してみたいものです。。。

書道や水墨画を始めるようになってから、黒が印象的な作品に特に目がいくようになりました。

ジョルジュ・マチューの1954年に制作された作品。
即興で絵の具を撒いて描かれたものです。前衛書の作品と並べて見比べてみたら面白そう。

ジョルジュ・マチューの言葉:
「芸術家は物を基盤としたこの世界の中で、人に基づく世界に再び終点をあてうる最後の者になるだろう」

ポンピドゥー2

こちらはロシアの画家、セルジュ・ポリアコフの1952年に制作された作品。
ロシア正教会の十字架をイメージしたものです。静粛な黒が美しいです。

セルジュ・ポリアコフの言葉:
「人はかたちを見るとき、それを聴かなければならない」

ポンピドゥー3

シモン・アンタイの1957年に制作された作品。
キャンバスに着色したものの上に黒を重ね、渇ききらないうちに黒を削り取って作られた作品。

ポンピドゥー4

オーギュスト・シャポーの1908年に制作された、ムーラン・ド・ラ・ギャレットを描いた作品。
(中でお酒を飲んでいる人たちに混ざりたい!)

オーギュスト・シャポーの言葉:
「芸術作品が成立する根底に欲求や喜びがあるなら、そこにはまた人々の生活との接触、つまり人間的な触れ合いがある」

ポンピドゥー6

私の勝手なイメージですが、墨が表現する黒は透明感や瑞々しさが引き立ち、油絵具などを使った洋の芸術が表現する黒はもっと硬質で光の粒子を含んでいるような感じ​がします。以前友人とペルトの音楽について話していた時、その友人が「闇の世界なんだけど、光り輝く闇」と表現していましたが、その表現がぴったりくるかもしれません。墨は水を使って書/描くものなので、湿度感を含むのは当然といえば当然なのですが、いつか光り輝く闇の世界を墨で表現してみたいなぁと憧れを抱いた展覧会でした。