世界を代表するテノール歌手、ヴィットーリオ・グリゴーロのコンサートに行ってきました。
前回のブログで書きましたが、METライブビューイングのホフマン物語であまりにも感激したので実際の声を聞いてみたくなり、会場に足を運びました。生の声は期待以上にすばらしく、その美声と迫力と感情の渦に圧倒され、鳥肌が立ちました。

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歌がすばらしかったのはもちろんなのですが、プラスですごかったのは、聴衆を楽しませようとするサービス精神。もうこれが半端ありませんでした。ステージ上で踊るわ、観客に花は投げるわ、ステージから下りて観客席で歌うわ、アンコールは「まだ歌ってくれるの!」というくらい何度も何度もステージに現れるわ、お客さんが「ヴィットーリオ、オーソレミオ歌って!」とリクエストしたらそれに応えて大熱唱してくれるわ、しまいには勢い余ってスライディングポーズでステージに現れ、文字通りステージ上を駆け回っていました。世界中の名だたるオペラハウスから引っ張りだこの超売れっ子一流歌手が、そこまでやってくれるのか!と、ただただ驚くばかり。

上のジャケット写真は紳士っぽいですが、実際はこんなヤンチャな雰囲気のが近い(youtubeのインタビュー動画より)↓

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翌日の日経新聞のインタビュー記事に、「オペラの聴衆の高齢化が進んでいる。カリスマ性のある若いメッセージを発していくべきだ。若年層とコミュニケーションをとるたえには何でもする。その上で、オペラの美しさ、過去の偉大な音楽作品のすばらしさを伝えたい」とありました。

観客を楽しませようとする精神や、若い世代にオペラのすばらしさを伝えたいという熱い思い--。天才歌手としての才能だけでなく、その情熱がすばらしいです。あのノリノリロック歌手ばりのステージは、観客を喜ばせようとするエンターテイナーという以上に、とても大切なことを教えてくれていると思いました。