2016年09月

上野の東京都美術館にて9月22日まで開催されていた、「ポンピドゥー・センター傑作展」に行ってきました。
1977年、パリに開館したポンピドゥー・センターのコレクションより、1906年から1977年までの作品を1年ごと1作家1作品を紹介するという展示会で、フランス近現代美術の流れが一望できるという内容です。

コンセプトに合わせ、動線もとても工夫されていました。
時代の流れに沿って、会場を効率よく巡ることができます。

ポンピドゥー展1

各アーティストの名言が作品と共に添えられていたので、言葉と絵を一緒に見ることができるのも楽しかったです。
刺激になる言葉がたくさんありました。

コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)
「呼吸するように創造することができたなら、それは真の幸福でしょう。そこに到達すべきなのです」
ポンピドゥー7

そういう境地にいつか到達してみたいものです。。。

書道や水墨画を始めるようになってから、黒が印象的な作品に特に目がいくようになりました。

ジョルジュ・マチューの1954年に制作された作品。
即興で絵の具を撒いて描かれたものです。前衛書の作品と並べて見比べてみたら面白そう。

ジョルジュ・マチューの言葉:
「芸術家は物を基盤としたこの世界の中で、人に基づく世界に再び終点をあてうる最後の者になるだろう」

ポンピドゥー2

こちらはロシアの画家、セルジュ・ポリアコフの1952年に制作された作品。
ロシア正教会の十字架をイメージしたものです。静粛な黒が美しいです。

セルジュ・ポリアコフの言葉:
「人はかたちを見るとき、それを聴かなければならない」

ポンピドゥー3

シモン・アンタイの1957年に制作された作品。
キャンバスに着色したものの上に黒を重ね、渇ききらないうちに黒を削り取って作られた作品。

ポンピドゥー4

オーギュスト・シャポーの1908年に制作された、ムーラン・ド・ラ・ギャレットを描いた作品。
(中でお酒を飲んでいる人たちに混ざりたい!)

オーギュスト・シャポーの言葉:
「芸術作品が成立する根底に欲求や喜びがあるなら、そこにはまた人々の生活との接触、つまり人間的な触れ合いがある」

ポンピドゥー6

私の勝手なイメージですが、墨が表現する黒は透明感や瑞々しさが引き立ち、油絵具などを使った洋の芸術が表現する黒はもっと硬質で光の粒子を含んでいるような感じ​がします。以前友人とペルトの音楽について話していた時、その友人が「闇の世界なんだけど、光り輝く闇」と表現していましたが、その表現がぴったりくるかもしれません。墨は水を使って書/描くものなので、湿度感を含むのは当然といえば当然なのですが、いつか光り輝く闇の世界を墨で表現してみたいなぁと憧れを抱いた展覧会でした。

清和書道会ではこのたび参加者を募り、宮城県石巻市雄勝町にある、雄勝硯の工房を見学してきました。

http://ogatsu-suzuri.jp/suzuri/

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宮城県石巻市雄勝町で生産されている「雄勝硯」は、室町時代からの歴史と伝統を誇っています。
2億年以上前の石から作られる雄勝硯の特徴は、美しい純黒色です。

雄勝硯1

その原石である雄勝石は「玄昌石」とも呼ばれています。 「玄」は黒、「昌」は美しいという意味があり、圧縮・曲げに強く、長い年月にも変質しない特性を持っていて、古くから硯の原料として使われてきました。

現在、日本の硯の約8割は中国産とのことですが、残り2割の硯の中で、雄勝は約8割から9割を供給しているとのことです。

この日は、雄勝硯生産販売協同組合の方に、工房の案内をして頂き、硯作成の工程、震災後の現況などを説明して頂きました。
東日本大震災では壊滅的な打撃を受けた地域ですが、現在は役所だった場所に新しく工房が建てられ、活動が再開されています。

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硯の多くは津波に流されてしまいましたが、硯は石で重いため、流されずに瓦礫と一緒に残っているものも見つかり、数万点が回収されました。そして売れる物を選別し、欠けてしまったところなど修理する作業から始められ、約1年かけてその半数ほどが修復されたそうです。

雄勝石は、硯だけでなく、屋根などのスレート材としても使われています。
東京駅の修復に使用される予定だった石がやはり津波で流されてしまいました。 全て梱包され、出荷される直前に地震に襲われてしまったそうです。しかし懸命の作業のうち、その石の約半分は回収され、修復に使用されました。 残りの足りなかった分は、今回初めて海外のから輸入し、スペイン産のものも使用されたとのことでした。

http://matome.naver.jp/odai/2134905139662682301

以前は数台あった機械ですが、やはり津波の被害により影響を受け、現在はこの工房にある限られた数で職人さんたちがまわして作業されているそうです。 組合の方だったら、いつでもここにきて作業ができるとのことでした。

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原石の塊が山から採掘された後、製品の大きさに合わせて切断されます。

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切断後、表面の凹凸が削られ滑らかにされます。

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その後、職人さんたちより手で加工されます。

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仕上げに、砥石、耐水ペーパーなどで磨かれます。

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こちらで作られた製品は現在、仮設商店街「おがつ店こ屋街」で購入することができます。

雄勝仮設店舗

硯の需要は年々減ってきており、現在子どもたちが学校で使うような書道セットの6割はプラスチックの硯だそうです。
硯に代わる商品として開発されたのがお皿で、雄勝石を使用した製品の7割以上を占める主力商品とのことでした。

確かに、最近イタリアンやフレンチのレストランで黒い石のプレートにカルパッチョやチーズなどを盛り付けて使っているのを時々目にします。

こちらは「絆」というシリーズ名の、大橋洋食器のすずり石プレート製品。
絆雄勝プレート

http://ohashi-web.co.jp/ohashi/kizuna

原料の石は今後枯渇しないかどうかという質問が出ましたが、以前調査してもらったところ、その心配はないとのことでした。
「それよりも、後継者がいなくなることの方が深刻」とのことでしたが、現在雄勝硯は7名で生産されており、20代から30代の見習いの方が3名いらっしゃるそうです。

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墨に固い異物が混ざっていると硯が傷ついてしまいますが、その際にどうやって硯をメンテナンスしたらよいかも職人さんに教えて頂きました。

硯を濡らした後、240番のサンドペーパーで表面をならし、荒目の砥石で少し力を入れて表面をこすり、仕上げに柔らか目の砥石で軽く表面をなでるようにこするとよいとのことでした。

普段使っている硯がどういう環境で、工程で作られるのか、実際に目にすることができ、また職人さんとも直接お話をする機会に恵まれ、とても有意義な見学旅行となりました。

雄勝硯生産販売協同組合の方には見学を快く応じて頂き、また興味深いお話をたくさん聞かせて頂き、どうもありがとうございました。

9月3日、4日、日本橋の三重テラスで「鈴鹿墨」を紹介するイベントが開催されるというのをFBの友人つながりで偶然知り、行ってみることにしました。
三重テラスは、銀座線「三越前」直結のビルにある、三重の特産品を販売したり、文化や歴史を紹介したりする施設です。

http://www.mieterrace.jp/

鈴鹿墨は、日本で唯一国指定の伝統工芸品で、その特徴として「地理的、及び気候風土の諸条件に恵まれているため、作品制作時の墨の発色が良く、上品で深みがあり、基線とにじみが見事に調和します」と紹介されています。

http://www.suzukazumi.co.jp/suzukazumi.html

鈴鹿墨を継承する伝統工芸士は、現役では進誠堂の伊藤亀堂さんただ一人ということで、この日も会場にお越しになっていました。イベントでは、鈴鹿墨を愛する作家の方々の作品が展示され、ワークショップが行われたり、書家の方々の席上揮毫が行われたりしていました。

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こちらは鈴鹿墨の展示販売コーナー。パンフレットやネットで墨を探す時と違って、実際にその墨で和紙に書いた色見本を見ることができるのが嬉しいです。(そしてイベント期間中は20%オフ!)

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普段から墨汁は使わないようにしているので墨はよく使いますが、主にネットで買う1000円もしない墨ばかり使っているので(^^;)、どれも私にはもったいないすばらしい高級墨ばかり!でもせっかくなので、気になった墨をいくつか購入してみました。

書道はまだまだぺーぺーレベルなので、正直、1000円の墨を使っていてもかなり満足なのですが、絵を描く時は、墨色が気になります。茶系の墨を使った時と、青系の墨を使った時では全然違いますし、同じ茶色や青でも墨によって雰囲気が微妙に変わってきます。

今回は青系の墨が欲しかったので、三重県からお越しになっていた進誠堂の社員の方に色々伺い、「凛」という3丁型8000円の墨を購入してみました。

また進誠堂では、顔彩を混ぜた色墨も販売しています。こちらの製品、以前伊東屋かどこかで見かけずっと気になっていたのですが、鈴鹿墨だとは知りませんでした。どれも品があって美しい色合いです。

こちらは、色墨を使った水墨画家直魅さんの作品。
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私は動物を描くことが多いので、グレー系の「雪」、黄色系の「月」、茶系の「地」を購入してみました。
これから鈴鹿墨を使った作品を作るのが楽しみです:))

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