2013年11月

今日は、東京は本当に気持ちのいい秋晴れでした。

駅までの道をぷらぷら歩くだけでも、鮮やかに色づいた紅葉が目に飛び込んできて、真っ青な空とのコントラストがとてもきれいでした。

写真 (1)

「紅葉」を詠んだ歌が数多くあるのを見てみても、古くから紅葉は日本人の心を魅了していたことが分かります。

唐錦色見えまがふ紅葉ばの 散る木の下は立ち憂かりけり
平兼盛


見る人もなくて散りぬる奥山の 紅葉は夜の錦なりけり
紀貫之


朝まだき嵐の山の寒ければ 紅葉の錦着ぬ人ぞなき
藤原公任


~『かな墨場必携-和歌編・植村和堂編』(二玄社)より~

上記の本には、奈良朝から近代までに読まれた秀歌が春・夏・秋・冬・恋・雑と分類されて豊富に収録されていますが、秋の項目をばらばらめくってみると、紅葉を詠んだ歌がたくさん見つかります。

こちらは、同じくかな墨場必携より、秋晴れを詠んだ歌を選んでみました。

秋晴れや空にはたえず遠白き 雲の生まれて風ある日なり
若山牧水


紅葉2

書道初心者の私は、現在仮名の「いろは」から勉強中ですが……、
季節ごとに合った和歌を自在に選んで、色紙や短冊にすらすらと書けたら楽しいですよね。

下記の通り、大字作品研究会を開催致します。
現地で実際に書いて、講師の批評を仰ぎます。
参加ご希望の方は本部までご連絡下さい。

日時:2013年12月1日(日)13:00-16:00
場所:メロンディアあざみ野
   横浜市青葉区新石川1-1-9(電話:045-909-1790)
   東急田園都市線または横浜市営地下鉄あざみの駅より徒歩5分
講師:副会長、常任理事
会費:4000円
募集人員:40名

今年もそろそろ年賀状を準備する季節になってきました。

来年は午年ですね。
書道をされている方の中には、馬という字を年賀状に墨で書かれる方も多いのではないでしょうか。

すべての漢字に言えますが、「馬」にも本当に色々な書体があって楽しいです。

書体字典で調べてみても、これだけあります。
時代ごとに字を眺めていると、実に長い年月を経て、今の字にたどり着いたのだなーと、実感できます。

【書体字典『新書源』二玄社より】
馬1

お気に入りの馬をいくつかピックアップしてみました。

西周(紀元前1100年頃~紀元前771年)の「馬」。
馬2

清の呉昌碩による「馬」。
四足で歩いていて、振り返っている馬みたいです。
馬3

平安時代、伝嵯峨天皇の「馬」。
デザイン的でお洒落な馬です。
馬4

西周の召尊による「馬」。
大きな一つ目の顔が可愛いです。
馬5

殷(紀元前17世紀頃~紀元前1046年)の甲骨文の「馬」。
甲骨文字は最も古い漢字と言われています。
馬というより、踊ってる昆虫みたいで面白いです。
馬6

これは字典にはありませんが、以前から興味のあるトンパ文字から「馬」をピックアップしてみました。
トンパ文字は、中国雲南省の奥地で、少数民族のナシ族により今も使われている文字です。
絵のようなトンパ文字は、可愛くて、ユーモラスで、見ていて本当に楽しいです。
馬7

ああしようこうしようと考えているうちにあっという間に年末が来てしまいそうで恐ろしいですが、年賀状の準備も楽しくできるといいですね。

今月発行の機関誌「清和」12月号に掲載された、第65回清和書展の受賞作品をホームページでもご紹介したいと思います。

機関誌のページをそのまま写メしたため、画質が悪く、作品によっては分かりづらいのがあって申し訳ないのですが、清和の作風をお伝えするにはよい機会かと思い掲載してみました。ご覧の様に、清和は特に古典的な仮名や写経を得意としています。

書道会によっては本当に様々な特徴があり、例えば、清和展と同時期に同じ東京都美術館で現代書道研究所が展覧会を開催していましたが、こちらの会の特徴は、壁面いっぱいに広がる碑文や経典の細楷の大作が並んでいることで、学生部でも1センチ角の三体千字文を書いた作品がたくさん展示されていました。

これから書道を始めてみたいと思っている方で、自分がどいういう字を書いてみたいかすでにアイディアがある方は、まず各書道会にどんな特徴があるかをリサーチして、実際にその書道会の展覧会に行って作品をご覧になってみることをおすすめします。

会長賞 宮崎洋流
毎日賞 船橋彩水、山崎良泉

2013清和展受賞作品1

特別賞 豊田露蓉、杉崎峯子、竹谷香霞、田中千恵子

2013清和展受賞作品2

審査員賞 飯田雨玉
全日本書道連盟賞 大埜荷舟
審査員賞 神谷琴爽、宝来翠泉

2013清和展受賞作品3

審査員賞 伊藤恵蓉、渡辺すみ子
U-23奨励賞 小室浩朋

2013清和展受賞作品4

11月24日まで、上野の東京国立博物館にて「中国絵画の至宝展」が開催中です。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1622

今年にリニューアルされた東洋館のオープンを記念して開催された特別展で、中国国内で歴代の書画を最も多く保有する上海博物館より、約1000年にわたる中国の絵画を代表する名画40件を展示しています。中国絵画史において重要な流派と画家の名作をほぼ網羅し、初の海外出展や、中国国内でも滅多に展示されない作品も含まれているとのことです。

会場に入った時、偶然にも学芸員の方が作品の説明をされていたのですが、「上海博物館でも最高レベルの作品が一度に日本に来てしまったという、本当に、本当に、奇跡のようなすばらしい企画展なんです!」と、何度も繰り返されているのが印象的でした。

中国絵画というものは私にとってあまり馴染はなく、墨絵の山水画や、赤やピンクなど鮮やかな色を使った花鳥画などの漠然としたイメージしかありませんでしたが、実際に今回の展覧会で代表的な作品を見てみて、とにかくそのすばらしさに圧倒され、衝撃を受けました。

特に衝撃を受けたのが、明末に活躍したエキセントリックスクール(奇想派)の代表画家、呉彬(ゴヒン)の描いた「山陰道上図巻」(1608)です。

上海展1

繊細でもあり、力強くもあり、複雑で生きているような線で、見たこともないような形の山や岩が10メートルの巻物にびっしりと描かれています。

学芸員の方の説明によると、今回は、この作品を鑑賞するのに極めて良い条件が3つ揃っているとのことでした。

1つ目は、ケースの幅です。巻物を閲覧する場合、ケースの幅が足りずにその一部しか見ることができないことが多いですが、リニューアルした東洋館で使用している展示ケースは幅がとても長いので、今回は約10メートルの巻物をそのまま全部広げて見ることができます。

2つ目は、ケースには最高級のガラスを使用しているとのことで、自分の顔がほとんどガラスに反射して映ることがありません。

3つ目は、照明がすばらしいことです。

これほどの条件でこの名画を鑑賞できる機会は、世界中でも今後滅多にないだろうとのことでした。

この巻物は春夏秋冬の移り変わりを表現しているので、右から左にじっくり見ていくと、季節が徐々に変化していく様子がよく分かります。ガラスに顔を近づけて見ることができるので、中国絵画のあらゆる技法を駆使しているというそのバラエティーに富んだ細かい筆使いもじっくり鑑賞することができます。

上海博物館2

張渥の白描画、「九歌図巻」(1346年)もすばらしかったです。元代文人の描いた一流の白描画は日本にほとんど伝わっていないとのことですが、流れるような美しい線に、目が釘づけです。こちらの作品も呉彬の巻物に使用されているのと同形のケースに入っているので、間近でその芸術的な線をじっくり鑑賞することができます。

上海博物館3

その他にも心を奪われる作品がたくさんありました。

王淵「竹石集禽図軸」(1344年)
鳥の羽のふわふわっとした繊細な表現と、岩や草木の凛とした線の表現がすばらしいです。

上海博物館4

惲寿平「花卉図冊」(1685年)
工筆画の繊細な線や色づかいも美しいです。

上海博物館5


未だ興奮冷めやらず……。
とにかくすばらしい作品が集まっているので、中国絵画に興味のある方はぜひ足を運んでみて下さい。

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