1月26日から2月3日まで、上野の「Gallery心」にて、「料紙と花」という展示会が開催中です。銀座線の稲荷町から徒歩約5分の、古民家を利用した素敵なギャラリーです。

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こちらで、小室かな料紙工房の小室久さんによる、美しい料紙の作品が展示・販売されています。小室さんは、茨木県常陸太田市に工房を構え、伝統的な技法で仮名料紙の制作を行っていらっしゃいます。

小室かな料紙工房

紙の染めから、版木の彫り、箔加工など、すべての工程を一人で行われているとのことです。料紙とは、主に仮名作品を書くための紙ですが、もはや料紙そのものが芸術作品です。

扇形の料紙
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小屏風。
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小屏風には、細かい絵がデザインされていますが、銀を使って、面相筆で全て手描きされているとのことでした。古筆の本を参考に、再現されているそうです。

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展示会期間中、こちらの2階で仮名料紙のワークショップが開催されています。天井も高く、古民家のよさをそのまま残した空間です。来年は再開発のため、残念ながらこの建物は取り壊されてしまうとのことでした。

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今回のワークショップでは、「継紙」という技法を学びます。
小室久さんが直々に指導して下さいます。

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まず、5枚好きな紙を選びます。様々な紋様や、金箔が入った美しい料紙が並んでいて、どれにしようか悩みます。

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選んだ料紙5枚。
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料紙5枚を重ね、一番上に型紙を乗せます。
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型紙の線に合わせて、彫刻刀を上から押すようにして、料紙に切り込みを入れていきます。

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1枚のハガキ大の紙が、このように分かれました。

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このままだと、切り込みを入れた部分に凹凸があるため筆の走りが悪くなるので、裏面からやすりをかけて滑らかにします。

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次に、刷毛でのりをつけて、紙を貼り合わせます。のりは、小麦粉からグルテンを分けたデンプン「生麩糊」を使います。文化財の修復などに使われているもので、しわになりにくいのだそうです。

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生麩粉に水を混ぜ、弱火で1時間ほど煮たものを刷毛につけ、料紙の裏側に塗っていきます。

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自分の選んだ5枚の中から好きな色を組み合わせ、紙を貼り合わせます。

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完成です!
参加者それぞれ紙の選び方に個性が出て、色々な味わいの継紙がであがりました。

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2時間ほどの作業でしたが、実際に体験してみると、本当に様々な工程をすべて手作業で行うということがわかります。仮名料紙とはどのようなものなのか、ほんの一端でも知ることができ、貴重な体験になりました。