秋の清和書道展の作品制作。

今年は紫陽花の歌を3行で書いて、下に紫陽花の絵を添えるという構成にすることにしました。

仮名は、さらさらーっと蛇行する線が美しいので、そういうのを書いてみたいと思って構成を考えましたが、この蛇行する線が難しい!
猛暑の夏、唸りながら苦行のようにひたすら書きまくり、ようやくこの出来ですが、今の自分の実力だとこれ以上は無理なので、今年はここで打ち止めです。

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並行して制作していた紫陽花の絵。
毎年「絵が目立つ」と言われるので、今年の目標は「絵は控えめに、書と一体になるように」です。

去年の作品

一体になるようにまず、絵は書と同じ紙を使うことにしました。
そのままだと滲んでしまうので、ドーサを引き、書と同じ色の茶墨を使います。
近所に咲いていた紫陽花のスケッチをして下絵を作ったら、墨と面相筆を使って線描きです。

紫陽花下絵

線描きが完成したら、次は色塗りです。
いきなり濃い色を塗るとむらになり、透明感も出ないので、最初は薄く色をのばして、何度も重ねてグラデーションを作っていきます。重ねすぎても紙がもたないので、その加減がなかなか難しいです。
今回は、7-8回くらい重ねています。紫陽花の葉の特徴である、葉脈をはっきりさせたかったので、少し太めに白を残すことにしました。

「無限・・・」と思えるくらい、ひたすら墨の重ね塗り・・・。
なかなか思うように濃くならないので、いつ終わるのかと心配になりましたが、やっと完成しました!!!

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完成した絵を書と合わせてみたら。。。

やっぱり絵が目立つ!
がーーーん。
なんだかあんまり仮名の書と会いません(´;ω;`)ウゥゥ
行書の作品と合わせて、漆の赤い額縁とかに入れて、中国調にしたら合うかもしれないです。
実を金色に塗っても可愛いかも、などなど頭の中で想像は膨らみますが、仮名に合わないので却下です。

気を取り直して、今度は青墨を使って、淡い色で描くことにしました。
葉脈も目立たないようにして、リアルな水滴も省略することに。

またまたひたすら苦行の重ね塗り。
途中で「なんでこんなめんどくさいの選んじゃったんだろう」と後悔が頭をよぎりましたが、ここまできたらもう遅い。
蝉の鳴き声を聞きながら、墨をぬりぬり10数時間。
淡い感じを出したかったので、葉っぱに少し色を重ねてみました。

完成!

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仮名の雰囲気にはこちらの方が合いそうです。
書も、青墨を使って再度書き直しました。

作品を制作していていつも思うのが、実際にアウトプットしてみないと、どんなものが生まれるか自分でもなかなか予測がつかないということです。頭の中で考えていたのとは違うがっかりなものができたり、逆に思いがけず面白いものができたり、作っている途中で変化したり、失敗だと思ったものがよかったり。アウトプットされたものを見て、また新しいものが生み出されるので、とにかくたくさん作るのが大事だなー、と思います。