橙月水墨画教室 Sumi-e class in Tokyo

西日暮里と世田谷用賀で水墨画教室開催中です。 渋谷の国際墨画会では、英語クラスを担当しています。 Sumi-e class in Nishinippori and Setagaya (Yoga) in Tokyo. International Sumi-e Association in Shibuya, English class lecturer.

上野毛の五島美術館で、10月20日まで「秋の優品展~禅宗の美~」展を開催中です。

http://www.gotoh-museum.or.jp/exhibition/open.html

鎌倉時代から江戸時代までの禅宗僧侶の墨跡や水墨画を中心に、禅宗文化を伝える作品が約50点展示されています。

禅僧の書は、個性や人間味に溢れていて、とても魅力的です。
誰がいつごろ書いたか等をあまり気にせず、とにかく自分が好きだなーと思うものを、感性のアンテナを張りめぐらせて鑑賞するととても楽しいです。

無準師範(1177-1249中国南宋時代の禅僧)墨跡。
「入」の字が、生きて歩いているみたいで面白いです。

禅宗の美

雪村周継筆 猿図と一行書の三幅対。
真ん中の掛け軸には「布袋和尚」と書いてあります。

写真 (3)

独特の画風で海外でも人気の高い白隠の筆による掛け軸も数点展示されていました。

白隠

美術館には大きな庭園があり、散歩するのにちょうどよい季節になったので、機会があったらぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

10月14日まで渋谷 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のレオナール・フジタ(藤田嗣治 1886-1968)展に行ってきました。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_fujita.html

フジタ1

フジタの絵を初めて見たのは何年も前のフランスで、その時は彼のことをまだ知らず、なんだかわからないけどすごくいい!と思って感激したのを覚えています。名前を見て、作家が日本人だとその時初めて知りました。

ロンドンにいたころ、新人デザイナーの作る服やアクセサリーの展示会に行って心惹かれるものを手に取ると、デザイナーが日本人だったということが何度もありましたが、育った環境は違っても、同じ日本人としての感性が共鳴するのかな、と思って嬉しくなった記憶があります。

今回展覧会のメインになっていたのは、子どもを主題にした作品でしたが、フジタの絵で、私が特に好きなのは裸婦の油彩です。油彩なのに、繊細な線で裸婦の身体の線や柔らかい布の輪郭が描かれていて、「乳白色の肌」と表現される色彩は美しく、しっとりした雰囲気です。あの繊細な線はどのうように油彩で表現するのだろうとずっと不思議だったのですが、白絵具にベビーパウダー混ぜたものを下地に使用し、面相筆を使って墨で輪郭を描いていたということを知りました。

フジタ2

和と洋を融合させて、自らのオリジナリティー溢れる作風を開花させた作家は他にもたくさんいますが、今回の展覧会でも、そういった彼独自の絵の魅力を存分に感じることができました。

いずれ自分でも、墨を使って美しい独自の線を表現できたらと思いますが、取りあえずは目前に迫る11月の漢字部昇級試験に向けて日々修行中です。。。

東京駅で時間が空いたので、偶然目についたポスターにふらりと吸い寄せられ、東京ステーションギャラリーに入ってみました。

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

企画されていたのは、日本画家大野麥風(1888-1976)展で、主に彼が手がけた「大日本魚類画集」の魚の木版画が展示されていました。

チケットがお洒落です。

Bakufu

東京ステーションギャラリーに入ったのは初めてでしたが、内装にオリジナルの煉瓦壁がそのまま活かされていて、ゆったりと落ち着いて作品が鑑賞できる、とても心地よい空間でした。

入口でチケットを購入すると、まずエレベーターで3階に上がります。3階の展示室を鑑賞した後は階段で下り、2階の展示室を巡ります。博物館や美術館の展覧会に行くと疲れてしまうことが多いですが、このギャラリーの空間や動線は何となく余裕があって、散歩するような感覚で、とても落ち着くことができました。

bakufu2

わさわさと人の多い東京駅周辺ですが、思いがけず癒されて、すてきな時間を過ごすことができました。

9月8日まで、東京国立博物館で「和様の書」特別展を開催中です。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1602

和様の書とは、日本風の書という意味で、中国風の書に対して用いられています。

【日本風の書と中国風の書の比較】
左が日本風の書で、右が中国風の書です。
日本風の書の特徴は、筆がやや右に傾く筆法で、転折の部分が比較的軽く曲線的となっています。

和様の書1


先日、上野毛の五島美術館でも同様のタイトルで特別展を開催していましたが、今回の展覧会も、日本の代表的な書をじっくりまとめて鑑賞できるすばらしい展覧会なので、お時間あればぜひ足を運んでみて下さい。

展示室は5つに分かれています。

1つ目は「書の鑑賞」いうテーマで、伊達正宗、織田信長、徳川家康、豊臣秀吉など歴史的人物による書や、寸松庵色紙、継色紙などの平安時代を代表する作品、手箱や硯箱、着物など書がデザインされた工芸品などが展示されています。

【重要文化財:金紅片身替文字模様 17世紀】

和様の書3

2つ目は「仮名の成立と三跡」というテーマで、小野道風、藤原行成、藤原佐理など、仮名が成立した平安時代の代表的な作品を展示しています。

【国宝:詩懐紙 藤原佐理】

和様の書4

3つ目は「信仰と書」、4つ目は「高野切と古筆」、5つ目は「世尊寺流と和様の展開」というテーマになっています。

国宝、重要文化財級の書がずらりと並んでいて、とにかくすごい数の展示物なので、一つ一つにため息をついてうっとりしていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。なるべくなら半日程度の余裕をもって、足の疲れない靴で行かれることをお勧めします。

毎日書道展特別展示として、国立新美術館で手島右卿(1901-1987)展を開催しています。
右卿は、徹底した古典学習の上に、美術としての書を目指し、世界的に活躍した日本を代表する書家の一人です。

作品はどれも心に響くものでしたが、個人的に特に印象に残ったものをご紹介します。

入口付近に展示してあった「山行」という作品。右卿46歳の作品で、”美術としての書”への挑戦という意欲作とのことですが、ぱっと見た時、なんとなくパウル・クレーを思い出しました。

ゆうけい

【パウル・クレーの作品】

Paul Klee


「猫」右卿85歳の作品。
「”書かれた猫字”ではなく、「猫字が居る」の印象でなくては、存在感的には無策の作ということになる」(右卿)

ゆうけい2

ゆうけい3


作品はもちろんですが、右卿語録もすてきです。


わたしは今 真の書を生みたいと 必至である

身に備えあれば 胸に盈ちて来ると同時に

おのずから 作品は生れる

何の怖れることも 歪めることもなしに

そっと

いのちを紙の上に 載せることはできないものか


Now, my focus is inevitably a desire to give birth to true sho.

when the body is prepared, and sho wells up inside you,

It flows forth naturally.

Without being afraid of anything or changing any details

quiety

can't we express our life on a piece of paper?



光を孕んでいなければならないのです

空間も文字も

光を吸い込んで

初めて生き生きとしてくるのです


Sho must be filled with light.

Space and characters come to life

only once they have taken in light.

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