橙月水墨画教室 Sumi-e class in Tokyo

西日暮里と世田谷用賀で水墨画教室開催中です。 渋谷の国際墨画会では、英語クラスを担当しています。 Sumi-e class in Nishinippori and Setagaya (Yoga) in Tokyo. International Sumi-e Association in Shibuya, English class lecturer.

今月の国際墨画会講師資格コースのテーマは「雪景色と古民家」。
刷毛を使って、空を一筆で描き、紙の白を雪山として表現します。
刷毛の片側に墨をつけ、グラデーションをつけて描く、片隈法という技法を使います。

The theme of this monght Sumi-e class at International Sumi-e Association is "Snowscape with Japanese old houses".
We use a wide brush to paint a sky with one stroke and express a snow mountain by leaving a white space of the paper. This stroke can be made by loading one side of the wide brush with ink, and make  gradation.

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一見簡単そうに見えますが、刷毛の水分、動かし方、グラデーションの作り方など、コツと練習が必要です。始めはなかなかグラデーションがうまくいかず、生徒さんも何度も練習されていました。

Everyone says it is not as easy as it looks! You need some practice to get used to use the wide brush. 

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刷毛の練習の上に、木の枝の練習。筆を一度ついてからゆっくり線を引くとうまくいきます。
入筆を急いで慌てて線を引こうとすると、慣れないうちはなかなか安定した線を引くことができないので、落ち着いて線を引くように何度か練習してもらいました。

In the class, we have also practiced to make a straight stroke to paint brunches.

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皆さん、クラスに参加されてまだ数回の水墨画初心者の方ですが、2時間のレッスン後、とても素敵な作品に仕上がりました。
After 2-hour lesson, everyone has completed lovely snowscapee paintings :))
It' s amazing that they have only started to learn Sumi-e a few month ago! 

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English will follow

水墨画は、基本の描き方さえ学べば、実際にスケッチをしたり写真を見たりしなくても、誰でもそのモチーフを描けるようになるので、初心者の方でも気軽に絵を楽しむことができるのが大きな特徴です。

この日のレッスンは、菊の描き方です。

生徒さんは、水墨歴2年ほどの、ブラジル人のMさん。
国際墨画会の講師資格コースに通っていらっしゃいますが、毎年夏にブラジルに帰国されるため、今まで参加できなかった課題を学ぶために、補講という形で3時間のプライベートレッスンを行いました。

線で花びら一枚一枚を描く方法と、面の一筆で花びら一枚一枚を描く方法、2パターンを学びました。

花びらを線で描く菊。葉は滲みを利用して、面描きの丸で表現します。
花びらの線が繊細で、葉の濃淡も出ていて、とてもきれいに仕上がりました。
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二つ目は花びらを面で描く菊。筆に絵の具を含ませて、一筆で花びらを表現します。
簡単にグラデーションが作れて綺麗に描くことがでる技法ですが、筆使いに慣れるまで苦戦される方が多いようです。

Mさんも、始めの方はうまくいかず、何度も練習されていました。
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レッスンが終わる頃には、こちらの菊もマスターされました!
時間の都合上、葉が乾いていなかったので葉脈を描き終わっていませんが、綺麗な作品が仕上がりました😊
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This is about 3 hours sumi-e private lesson held last week.
The lesson was about how to paint chrysanthemum in two ways: 
1) paint a petal with outlines, and 2) paint a petal in one stroke.
She first strugled to make brush strokes to paint petals with colours, but finally, completed beautiful pieces,  and managed to learn how to paint chrysanthemum in two ways!




第4水曜日の英語クラスを今年から担当しています。
10月の課題は「建物のある風景」です。
前半2時間のモチーフは、「原爆ドーム」。透視図法(パース)や、構図について簡単に学んだ後、1枚の同じ写真から各々下絵を作成し、下絵の上から墨で線描きしていきます。

同じ写真から作成しても、どうやって表現したいかは人それぞれで、構図や線質などに個性が出るのが絵の面白いところです。

数か月前に水墨画を始めたばかりの日本人のTさん。とても丁寧で綺麗な線を描くのが得意です。
広い空を描きたいとのことで、空の余白が多めの構図です。
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風景画が好きで、水墨画の前は西洋画を学んでいたというフランス人のNさん。
さすが風景画が好きというだけあって、雰囲気のある絵に仕上がりました。
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美術史の講師をしているというブラジル人のMさん。
建物の遠近が出ていて、存在感のある絵に仕上がりました。
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授業後半は自分のスケッチを元に、自由に「建物のある風景」を描いてもらいました。
五重塔やお寺など、日本らしいモチーフを選ぶ方が多かったです。
時間切れで授業内では完成できませんでしたが、次回の授業で提出になります。


今年に入り、水墨画の講師を始めました。

授業の参考に、水墨画と一緒に近代詩の俳句や和歌も入れたものをかいています。
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簡単な筆使いでも作品になるのが、水墨画の大きな魅力の一つです。
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現在は、国際墨画会の渋谷道元坂にある本部教室で、クラスを担当しています。
基本は日本語での授業ですが、英語でもサポートを入れながら、毎月異なる画題をテーマに勉強しています。生徒さんは、日本人の他に、アメリカ人、メキシコ人、ウクライナ人と、国際色豊かで、とても楽しい雰囲気です。

数か月前に始めたばかりのウクライナ人のVさん作品。
岩の描き方を学んだ回に描かれたものです。
鈴虫と草を添えて、可愛らしい作品になりました。

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ブラジル人のMさん作品。
樹の描き方を学んだ回に描かれたものです。
ポルトガル語の詩を添えて、とてもお洒落な作品になりました。

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アメリカ人のLさん作品。
先月スタートされたばかりの生徒さんです。
この作品を描いた時は、この日初めて筆を持ち、硯や墨も初めて見た!とのことでした。

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書作品の余白に絵が入るとまた雰囲気が一変し、楽しい作品になります。
渋谷のお教室の他に、世田谷区の用賀・上野毛でのお教室や、出張教室も開催予定ですので、ご興味ある方は是非

info@japaneseinkart.net

までご連絡下さい。書画の小品を作成してみたい方や、一から水墨画を学んでみたい方、水墨画講師資格取得をお考えの方等、様々なニーズに対応させて頂きます。

2020年2月5日から9日までロサンゼルスでLA Art Show が開催されました。

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今年で開催25年目を迎えるLA Art Showは、全米のみならず、世界的に見ても大変規模の大きなアートショーで、5日間の来場者数は5万5千人を超え、23か国から130以上の画廊が参加します。絵画、彫刻、インスタレーション、写真、ファッション、デザイン、映像、あらゆるジャンルのアートが展示されます。

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今年もアカデミー賞を受賞されたカズ・ヒロさんの作品。オープニングでは、ご本人が作品の前で取材を受けていらっしゃいました。

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ニューヨークのギャラリーが取り扱う、エッシャー・コレクション。エッシャーの貴重で珍しい作品が多く展示されていました。

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草間彌生さんの作品も出展されていました。

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ギャラリーのみが出展可能の、作品売買がメインのアートフェアのため、アートコレクターが多く訪れますが、もちろん一般のアートファンも入場できます。オープニングにはハリウッド映画関係の招待客が姿を見せたり、個性的な衣装で会場を歩く人がいたり、ロスという場所柄、とても明るくてオープンな雰囲気です。

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会場は犬もOK。

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今年のLA Art Showでは、前衛書家の千葉蒼玄先生が、特別企画展示の一つとしてフェアの主催者から招聘され、東京都美術館で昨年開催された、上野アーティストプロジェクト「見る、知る、感じるー現代の書」 で展示した作品を出展することになり、私は通訳として同行させて頂く機会に恵まれました。

千葉先生の作品は、北井画廊を通じて海外のアートフェアに数多く出展されています。北井画廊は、現代書や墨作品、現代美術作品を中心に取り扱っている、千代田区の国立劇場目の前に居を構えるギャラリーです。画廊オーナーの北井さんは、まだまだ埋もれている優れた作品を世に広めるべく、年中海外のフェアを飛び回っていらっしゃいます。

「3.11 鎮魂と復活」は、東日本大震災に関する新聞記事がびっしりと書かれた作品で、遠くから見ると津波のように見えます。幅12.6メートル、高さ3.6メートルで、会場の壁面を埋め尽くす大きさのため、14枚のパネルに分解してシッピングされました。表具屋さん2名も同行し、フェア前日に設置作業が進められました。


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「3.11 鎮魂と復活」は、特別企画展示ということもあり、ひじょうな注目を集めました。日本人であれば文字をつい読んでしまいますが、日本語が読めない外国人は書としてではなく、アートとして鑑賞するため、多くの人が「Beautiful!」を連呼しているのが印象的でした。

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アメリカのメディアから取材の申し込みもあり、作品の背景や、作品制作の動機などの質問がありました。

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感激して作品の前で踊りだす人も。

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会期中は毎日、千葉先生によるライブパフォーマンスが行われ、大筆を使った前衛書、篆刻、小筆を使った作品制作の様子などが披露されました。

日本の書道展などでもよく行われるライブパフォーマンですが、決定的に違うところは、日本では破棄されてしまう作品も、こちらでは立派な作品としてきちんとした値段をつけて販売されるということです。こちらの作品も、いくらで売っているのかと多くの問い合わせがあり、実際には約100万円の価格が付けられました。今回のライブパフォーマンス作品は、ロサンゼルスアートショーの創始者兼プロデューサーの方が所望され、寄贈品という形でコレクションの一部に加えられることになりました。

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その場で印を注文された女性。彼女もアーティストで、印はご自分の作品に使いたいとおっしゃっていました。

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「鎮魂と復活」は美術館レベルの作品のため、一般の方に販売することはなかなか難しいですが、隣接して設置された北井画廊ブースには、小品が展示即売されました。千葉先生の作品は、30万から40万円くらいの価格がつけられ、アートコレクターの方が購入されていきました。

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北井画廊以外にも日本や韓国、中国から出展し、墨作品を扱っている画廊がありました。
こちらの日本人作家Yuuko Suzukiさんの軸装作品は、約36万円。

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こちらの韓国人作家Jeong Kyoungさんの軸装作品は約83万円。

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日本では、書道や水墨画などの団体に所属している場合、公募展や展覧会の作品を販売したり、ビジネスにしたりということはほぼ皆無に近い状況です。

皆さん多大な労力、費用をかけ、何十年も鍛錬を積んで技術を磨きあげ、その努力の結晶としての作品を制作されていますが、ほとんどの方が「制作した作品は押入れの中に積まれたまま」とおっしゃいます。

今回のフェアに参加してみて感じたのは、日本の書道や水墨画も、内向きな場所にとどまっているにはあまりに勿体ないということです。もちろん、団体に所属せずに個人で積極的に活動をされている方も大勢いらっしゃいますが、全体的に見れば、書道界や水墨画界はまだまだ閉鎖的な世界です。

また、欧米に行くといつも感じることは、アートが人々の生活の中に自然と溶け込んでいるということです。市場の評価とは関係なく、自分が肌で感じていいと思ったものを積極的に取り入れるという文化があるからこそ、お金持ちのコレクターだけではなく、一般人コレクターたちによるアートビジネスが成り立っているのだと思います。

美術館の多くは無料で、学校の授業でも美術館巡りが積極的に取り入れられているため、幼いころから質のいいアートに直に触れ、自分の感覚を育てる機会が多いのも大きなメリットではないでしょうか。

ロサンゼルス現代美術館(MOCA)。入館無料。平日だったため、子どもたちが学校の課外授業で大勢訪れていました。

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ゲッティ美術館の庭園。広大な敷地に、膨大なコレクションを収蔵した展示館がいくつも設置されています。こちらも無料。

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自分に何ができるかはまだまだ模索中ですが、今回のアートフェア参加を通じて、色々なことを考えさせてくれる貴重な機会を頂けたことに、心から感謝したいと思います。

(by ブログ管理人)

【追記】

今回このフェアにも参加され、二度目のアカデミー賞を受賞したカズ・ヒロさんに関する、中川まろみさんの記事が興味深かったのでご興味ある方はリンクご覧下さい。

アメリカ国籍を取得したカズ・ヒロさんが、日本での経験が受賞に生きたかと問われ、「too submissive (周りに合わせ従順であることを強要する)な日本の文化の中で夢を叶えるのは難しく、そんな文化の中で疲弊してしまった」と答えています。中川さんは、「too submissive」というキーワードを核に、現代の日本社会が抱える問題の提起をされています。

どの文化にも一長一短ありますが、それがよく見えるのも外に出てみればこそ。年を重ねるとだんだんと国内を離れるのがおっくうになってきますが、たまには外に出るようにしたいなと改めて感じた管理人でした。


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