橙月水墨画教室 Sumi-e class in Tokyo

西日暮里と世田谷用賀で水墨画教室開催中です。 渋谷の国際墨画会では、英語クラスを担当しています。 Sumi-e class in Nishinippori and Setagaya (Yoga) in Tokyo. International Sumi-e Association in Shibuya, English class lecturer.

どんなものを「可愛い」と感じるかは人によってそれぞれ違うと思いますが、近年頻繁に耳にする「可愛い」という形容詞。
私もあまりに多用するため、以前人に「いいと思うものに対しての形容詞が全部可愛いだね」と言われたことも……。

そんな身近な形容詞「かわいい」がテーマとなった面白い企画展が、3月2日まで山種美術館で開催中です。

http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

ちらし

山種美術館は、1966年に開館した日本画専門の美術館で、現在ある広尾には2009年に移転し、リニューアルオープンしています。

恵比寿駅から徒歩約10分の便利な場所にあります。
今回初めて訪れましたが、方向音痴の私でも迷うことなく到着できました。
広尾高校の目の前に建つ、モダンな建物の美術館です。

外観

入口には日当たりのよいカフェも併設されています。

カフェ

展示室は地下に設置されていて、広すぎず、小さすぎず、ほどよいスペースです。
柔らかい照明が心地よい展示空間を作り出しています。

展示室

今回の企画展『Kawaii日本美術~若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで~』は、室町・江戸時代から昭和までの作品を、「子ども」、「動物」、「小さい・ほのぼの・ユーモラス」、3つのテーマに分けて展示しています。

個人的に一番「可愛い!」のツボにはまった作品は、若冲の「托鉢図」と、「伏見人形図」です。
若冲は緻密な描写と美しい色彩で描かれた鶏の絵が有名ですが、こういうユーモラスたっぷりで温かみのある作品もひじょうに魅力的です。

「托鉢図(1793年)」
ユニークな構図がとにかく「可愛い」です。
若冲

「伏見人形図(1799年)」
企画展のちらしデザインの一部になっています。素朴な表情が「可愛い」です。
若冲2

その他、谷内六郎の描いた『動揺にっぽんのわらべうた さし絵シリーズ』も、レトロな雰囲気を漂わせていて、かなり「かわいかった」です。

わらべ歌

©Michiko Taniuchi

自分の感性に合った新しい「可愛い」を発見してみるのも楽しいです。

ちなみに、この展示会の目玉である伊藤若冲の「樹花鳥獣屏風図」は2月4日からの展示となっていますので、屏風図をご覧になりたい方はご注意下さい。

10月8日から開催されていた東京国立博物館の特別展「京都」。行こう行こうと思っていたらつい日が経ち、気が付いたらもう12月。最終日の12月1日、上野に出かけていきました。

東京国立博物館の門をくぐると、広い敷地内の正面に和洋折衷の大きな本館、左手に青いドームの麦慶館が目に飛び込んできて、いつも異空間に入り込んだ不思議な気持ちになります。

この日も気持ちのいい秋晴れ。麦慶館前の銀杏がきれいです。

銀杏

重要文化財に指定されている麦慶館内部のドーム天井もすてきです。

表慶館

イギリスでは大英博物館やテートギャラリーなどを始め、博物館や美術館の館内スペースを一般に貸し出し、ケータリング会社と提携して、企業イベントや結婚式など様々なレセプションをよく開催するのですが、シャンパングラス片手に、名画の前や、装飾がすばらしい歴史的建造物内のスペースでソーシャライズするのはなかなか優雅な気分になります。明治に建てられたこの表慶館も、天井が高くて、内部のスペースも広々しているので、企業レセプションや結婚式のレセプションにはかなり好条件なのになーと思いながら見学。館内は現在休憩スペースとして開放されています。

肝心の特別展ですが、最終日ということもあってすごい人でした。
大々的に広告が打たれていた洛中洛外図屏風の前は特にすごい人だかり。美しい色彩の屏風には、戦国末期から江戸初期の人々の様子が表情まで細かく活き活きと描かれていて素晴らしいのですが、まず屏風にたどり着くまでに長い行列で、やっとたどり着いたと思ったら、今度は少しでも立ち止まると「立ち止まらないでください!」と係員に怒られるので全然ゆっくり見ることができませんでした……。

屏風

屏風はゆっくり見ることができませんでしたが、今回の特別展は通常の展示と少し違うのが面白かったです。宣伝広告では洛中洛外図屏風にばかりスポットが当たっていましたが、「戦国末期から江戸初期の京都」をテーマに、屏風の細部を展示室の壁面をいっぱいに使って大型スクリーンに表示したり、最新の映像技術や音響設備を駆使して四季折々の龍安寺の石庭を再現した展示室を作ったり、二条城の障壁画を展示物としてただ見せるのではなく城内の空間として再現する工夫がされていたり、芸術作品の展示のみに焦点を合わせるというより、画像や音響も織り交ぜ、ミュージアムエデュケーションを意識した展示であったように思います。

龍安寺スクリーン

東京国立博物館は金曜の夜は遅くまで開館しているので、平日仕事がある方は、人気のある特別展に行く時は金曜の夜がおすすめです。

11月24日まで、上野の東京国立博物館にて「中国絵画の至宝展」が開催中です。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1622

今年にリニューアルされた東洋館のオープンを記念して開催された特別展で、中国国内で歴代の書画を最も多く保有する上海博物館より、約1000年にわたる中国の絵画を代表する名画40件を展示しています。中国絵画史において重要な流派と画家の名作をほぼ網羅し、初の海外出展や、中国国内でも滅多に展示されない作品も含まれているとのことです。

会場に入った時、偶然にも学芸員の方が作品の説明をされていたのですが、「上海博物館でも最高レベルの作品が一度に日本に来てしまったという、本当に、本当に、奇跡のようなすばらしい企画展なんです!」と、何度も繰り返されているのが印象的でした。

中国絵画というものは私にとってあまり馴染はなく、墨絵の山水画や、赤やピンクなど鮮やかな色を使った花鳥画などの漠然としたイメージしかありませんでしたが、実際に今回の展覧会で代表的な作品を見てみて、とにかくそのすばらしさに圧倒され、衝撃を受けました。

特に衝撃を受けたのが、明末に活躍したエキセントリックスクール(奇想派)の代表画家、呉彬(ゴヒン)の描いた「山陰道上図巻」(1608)です。

上海展1

繊細でもあり、力強くもあり、複雑で生きているような線で、見たこともないような形の山や岩が10メートルの巻物にびっしりと描かれています。

学芸員の方の説明によると、今回は、この作品を鑑賞するのに極めて良い条件が3つ揃っているとのことでした。

1つ目は、ケースの幅です。巻物を閲覧する場合、ケースの幅が足りずにその一部しか見ることができないことが多いですが、リニューアルした東洋館で使用している展示ケースは幅がとても長いので、今回は約10メートルの巻物をそのまま全部広げて見ることができます。

2つ目は、ケースには最高級のガラスを使用しているとのことで、自分の顔がほとんどガラスに反射して映ることがありません。

3つ目は、照明がすばらしいことです。

これほどの条件でこの名画を鑑賞できる機会は、世界中でも今後滅多にないだろうとのことでした。

この巻物は春夏秋冬の移り変わりを表現しているので、右から左にじっくり見ていくと、季節が徐々に変化していく様子がよく分かります。ガラスに顔を近づけて見ることができるので、中国絵画のあらゆる技法を駆使しているというそのバラエティーに富んだ細かい筆使いもじっくり鑑賞することができます。

上海博物館2

張渥の白描画、「九歌図巻」(1346年)もすばらしかったです。元代文人の描いた一流の白描画は日本にほとんど伝わっていないとのことですが、流れるような美しい線に、目が釘づけです。こちらの作品も呉彬の巻物に使用されているのと同形のケースに入っているので、間近でその芸術的な線をじっくり鑑賞することができます。

上海博物館3

その他にも心を奪われる作品がたくさんありました。

王淵「竹石集禽図軸」(1344年)
鳥の羽のふわふわっとした繊細な表現と、岩や草木の凛とした線の表現がすばらしいです。

上海博物館4

惲寿平「花卉図冊」(1685年)
工筆画の繊細な線や色づかいも美しいです。

上海博物館5


未だ興奮冷めやらず……。
とにかくすばらしい作品が集まっているので、中国絵画に興味のある方はぜひ足を運んでみて下さい。

上野毛の五島美術館で、10月20日まで「秋の優品展~禅宗の美~」展を開催中です。

http://www.gotoh-museum.or.jp/exhibition/open.html

鎌倉時代から江戸時代までの禅宗僧侶の墨跡や水墨画を中心に、禅宗文化を伝える作品が約50点展示されています。

禅僧の書は、個性や人間味に溢れていて、とても魅力的です。
誰がいつごろ書いたか等をあまり気にせず、とにかく自分が好きだなーと思うものを、感性のアンテナを張りめぐらせて鑑賞するととても楽しいです。

無準師範(1177-1249中国南宋時代の禅僧)墨跡。
「入」の字が、生きて歩いているみたいで面白いです。

禅宗の美

雪村周継筆 猿図と一行書の三幅対。
真ん中の掛け軸には「布袋和尚」と書いてあります。

写真 (3)

独特の画風で海外でも人気の高い白隠の筆による掛け軸も数点展示されていました。

白隠

美術館には大きな庭園があり、散歩するのにちょうどよい季節になったので、機会があったらぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

10月14日まで渋谷 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のレオナール・フジタ(藤田嗣治 1886-1968)展に行ってきました。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_fujita.html

フジタ1

フジタの絵を初めて見たのは何年も前のフランスで、その時は彼のことをまだ知らず、なんだかわからないけどすごくいい!と思って感激したのを覚えています。名前を見て、作家が日本人だとその時初めて知りました。

ロンドンにいたころ、新人デザイナーの作る服やアクセサリーの展示会に行って心惹かれるものを手に取ると、デザイナーが日本人だったということが何度もありましたが、育った環境は違っても、同じ日本人としての感性が共鳴するのかな、と思って嬉しくなった記憶があります。

今回展覧会のメインになっていたのは、子どもを主題にした作品でしたが、フジタの絵で、私が特に好きなのは裸婦の油彩です。油彩なのに、繊細な線で裸婦の身体の線や柔らかい布の輪郭が描かれていて、「乳白色の肌」と表現される色彩は美しく、しっとりした雰囲気です。あの繊細な線はどのうように油彩で表現するのだろうとずっと不思議だったのですが、白絵具にベビーパウダー混ぜたものを下地に使用し、面相筆を使って墨で輪郭を描いていたということを知りました。

フジタ2

和と洋を融合させて、自らのオリジナリティー溢れる作風を開花させた作家は他にもたくさんいますが、今回の展覧会でも、そういった彼独自の絵の魅力を存分に感じることができました。

いずれ自分でも、墨を使って美しい独自の線を表現できたらと思いますが、取りあえずは目前に迫る11月の漢字部昇級試験に向けて日々修行中です。。。

↑このページのトップヘ