橙月水墨画教室 Sumi-e class in Tokyo

西日暮里と世田谷用賀で水墨画教室開催中です。 渋谷の国際墨画会では、英語クラスを担当しています。 Sumi-e class in Nishinippori and Setagaya (Yoga) in Tokyo. International Sumi-e Association in Shibuya, English class lecturer.

世界を代表するテノール歌手、ヴィットーリオ・グリゴーロのコンサートに行ってきました。
前回のブログで書きましたが、METライブビューイングのホフマン物語であまりにも感激したので実際の声を聞いてみたくなり、会場に足を運びました。生の声は期待以上にすばらしく、その美声と迫力と感情の渦に圧倒され、鳥肌が立ちました。

grigolo

歌がすばらしかったのはもちろんなのですが、プラスですごかったのは、聴衆を楽しませようとするサービス精神。もうこれが半端ありませんでした。ステージ上で踊るわ、観客に花は投げるわ、ステージから下りて観客席で歌うわ、アンコールは「まだ歌ってくれるの!」というくらい何度も何度もステージに現れるわ、お客さんが「ヴィットーリオ、オーソレミオ歌って!」とリクエストしたらそれに応えて大熱唱してくれるわ、しまいには勢い余ってスライディングポーズでステージに現れ、文字通りステージ上を駆け回っていました。世界中の名だたるオペラハウスから引っ張りだこの超売れっ子一流歌手が、そこまでやってくれるのか!と、ただただ驚くばかり。

上のジャケット写真は紳士っぽいですが、実際はこんなヤンチャな雰囲気のが近い(youtubeのインタビュー動画より)↓

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翌日の日経新聞のインタビュー記事に、「オペラの聴衆の高齢化が進んでいる。カリスマ性のある若いメッセージを発していくべきだ。若年層とコミュニケーションをとるたえには何でもする。その上で、オペラの美しさ、過去の偉大な音楽作品のすばらしさを伝えたい」とありました。

観客を楽しませようとする精神や、若い世代にオペラのすばらしさを伝えたいという熱い思い--。天才歌手としての才能だけでなく、その情熱がすばらしいです。あのノリノリロック歌手ばりのステージは、観客を喜ばせようとするエンターテイナーという以上に、とても大切なことを教えてくれていると思いました。

東京バレエ団のジゼルを見に行ってきました。

主役のジゼルは、ウクライナ出身のボリショイバレエ団プリマバレリーナで、プーチン大統領のお気に入りとも言われている、スヴェトラーナ・ザハロワ。

http://www.svetlana-zakharova.com/
http://matome.naver.jp/odai/2140825528344563601

彼女の公演を見るのは初めてでしたが、これがもう息をのむほど美しく、役柄の精霊そのものでした。

ジゼル

ロマンティック・バレエを代表するジゼルですが、精霊の棲む夜の森を表現した薄暗いブルーの照明と、ジゼルの真っ白なドレスと、アダンの優雅な旋律とが織りなす風景に、ザハロワの霧のようにふわふわと漂う、重力を全く感じさせない踊りが加わり、この世のものとは思えない幻想的な世界を描いていました。

古典バレエの世界もやっぱりいいなぁと、公演後はしばらく夢心地でしたが、ふと思い出したのが、先月渋谷文化村で上映していたロンドンナショナルギャラリーのドキュメンタリー映画で、絵画の前でバレエを踊るシーン。

http://openers.jp/article/869562

少々話は飛びますが、先日友人が、絵画の前でペルトの合唱曲を演奏する展覧会の様子を紹介したリンクを送ってくれました。これがまたすばらしい!

ペルト+モダンアート+フォックスクラマンティス
https://www.youtube.com/watch?v=5MMamdLMtZo

こういった展覧会と、音楽や踊りなどを組み合わせて作り上げる空間ってすてきだなと最近よく思います。

私の絵の恩師である故坂下先生の個展でも、朗読とオペラのミニコンサートが企画されたのですが、独特の空気がかもしだされ、その場に居合わせたギャラリーの方たちと不思議な時間を共有できたのを記憶しています。

もし、古典仮名作品に音楽や踊りを合わせるとしたらどんなものが合うでしょう……?

レストランや、カフェ、バーなどの居心地のよいスペースで、特定のテーマを元に、書画と音楽や踊りのコラボレーション―そういったイベントを通じて、かなの世界を、若い世代の人たちや、海外の人たちなど、幅広い層に紹介していけたら面白そうです。

「日本民藝館」で、3月22日まで「文字の美」展が開催中です。

http://www.mingeikan.or.jp/

「日本民藝館」は、井の頭線の駒場東大前駅から徒歩数分の場所にあります。
駒場東大前は渋谷からわずか2駅。
駅前には言わずと知れた東大がありますが、周辺はのどかな雰囲気の落ち着いたエリアです。

日本民藝館。
民藝館1

ネット検索していて偶然みつけた特別展のタイトルに惹かれ、初訪問。
今までこんなすてきな場所があることを知りませんでした。

和風建築の外観はもちろん、内観もすばらしいです。
木の温もりを大切にした和風建築独特の居心地のよさもさることながら、さりげなく置いてある家具や小物、展示方法などなど、何から何までセンスがよく、洗練された空気が広がっています。

入口正面の壁には、大きな漢時代の拓本が飾ってあります。
博物館で展示物を鑑賞するというよりは、展示物を身近に感じながら、空間そのものを楽しめる作りになっています。
民藝館3

古い学校の教室のような雰囲気の展示室。
民藝館4

木枠のガラスケースや磨かれた木の床にほっとします。
民藝館5

「日本民藝館」は、「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠地として、思想家の柳宗悦(1889-1961)により設立されました。

あまりにもすてきな場所だったので、もっと柳宗悦のことを知りたくなり、売店で売っていた『柳宗悦』(中見真理著/2013年岩波新書)を買ってみました。彼の活動を、多民族・多文化が共生する「複合の美の思想」という興味深い切り口で、わかりやすく書かれている本で、夢中で読破。途中、そうそう!と共感する部分が多く、自分が大切にしたいと思う芸術の方向性を考える上でとてもよい刺激を受けることができました。

宗悦の言葉より。美しい表現です。
「野に咲く多くの異なる花は野の美を傷めるであろうか。互いは互いを助けて世界を単調から複合の美に彩るのである」

「新奇なものを作ろうとするたくらみや、自分の名前を売り出そうとする作為から離れ、ひたすら実用に即したものを作ろうとするとき、材料がもっともよく活かされ、労働と美が結合し、優れた美が生まれる。そこには華美も他への威嚇もみられず、素直で親しみがもてる静寂な美が保たれている」


今回の特別展「文字の美」には、「既成の価値観、書道の習慣などに縛られず、柳宗悦自身が美しいと感じた文字を民藝館のために蒐集したもの」が展示されていて、通常の書道展などとは全く趣旨が異なり、とても感銘を受けました。

現在開催中の特別展「文字の美」の展示室。
民藝館5

文字がデザインされた日本の羽織や陣笠、皿、版木、和時計、花瓶などの他に、中国の拓本、韓国の文字絵、グレゴリオ聖歌の楽譜、イギリスの陶器などが展示されていました。コレクションのセンスも抜群です。

神秘思想を中心とした宗教研究、ウィリアム・ブレイクの先駆的研究、木喰仏の発見とその研究、沖縄方言論争、仏教美学樹立への挑戦等々…宗悦の多様な経歴を聞いて、コレクションの幅の広さと一貫性に納得。本当にわくわくします。

「水の字に魚」自在横木(囲炉裏で梁から吊るす自在鈎の部分) 飛騨地方 江戸時代
民藝館8

版木 江戸時代
民藝館9

中でも私が気に入ったのは、かなで書かれた般若心経。
民藝館7

おそらく平仮名しか知らない信者が、江戸期か明治以降あたりに書いたものと説明にはありました。
有名な書家や僧が書いたものではありませんが、強く心を打たれる書で、しばし見入ってしまいました。

こちらも無名の人が書いた室町時代の手紙。
民藝館10

高名な書き手の作品ではなくとも、どこか惹きつけられる温かさや味があります。
展覧会のためではなく、心の中から湧き出た感情や思いを自然と表現できる書が自分でも書けたらなぁと思います。

廊下のスペースもすてきです。
このベンチに座って、陽だまりの中、ずっと前の壁に飾ってある拓本を眺めている人がいました。
民藝館10

日本民藝館で貴重な時間を過ごした後、近所を散策に行きました。

近くには駒場公園があり、ここには旧前田侯爵邸があります。
駒場公園1

和館は工事中ですが、洋館は無料で入ることができ、カフェもあります。
駒場公園2

中はかなり広いスペースで、レセプションにぴったりです。
プロのケータリングやイベント会社と協働して企業や結婚式のレセプションに貸し出したらさぞかし人気が出るのではないでしょうか。

駒場公園3

重要文化財なので色々と規制があって難しいのかもしれませんが、例えばロンドンではカンパニーリバリーホールという同業組合の所有する歴史ある建物が多数残っていて、そこでは結婚式や会社のイベントなどが開催できるようになっています。歴史的建造物が地元住民の生活にとても身近なものとして活用されています。

http://www.liverycompanies.info/a-z-list-of-companies/livery-halls.html

私が以前勤めていた会社では、下記リンクの Merchant Taylors'で新しいトップの就任レセプションを開催したことがあります。ホールにはイベントを担当している部署があって、プロのケータリング会社や、契約しているフラワーアレンジメントのアーティストやフォトグラファー、ミュージシャンなどと一緒に相談をしながら、イベントを作っていくシステムができています。
http://www.mtaylorsevents.co.uk/the-rooms/the-great-hall

美術館や博物館もしかり。テートモダンのピカソやマティスの絵の前や、大英博物館の古代の遺物の前で、ワインを飲んだり、カナッペとシャンパンで談笑できるというすてきな機会を持つことも可能です。日本でも、公共のすばらしい施設がもっと住民の身近なものになったらいいのにとよく思います。

そして、もう一つ、侯爵邸で残念なのは、トイレにあった特大消臭力と、けばけばしい色のいわゆる懐かしの便所スリッパ。。。さりげないインテリアをトータルコーディネートしたらもっとすてきになるのに惜しいです。

侯爵邸の近くには、日本近代文学館もあります。

http://www.bungakukan.or.jp/

こちらでは現在、「近代文学の名作・大正」という展示会をやっています。
作家の手書きの原稿や、当時の本などが展示してあります。

デザインがとってもお洒落。
文学館2

若かりしころの谷崎潤一郎。けっこうイケメン。
文学館4

こちらにも面白いカフェがあります。コーヒーの名前には鴎外や、芥川など、作家の名前がついていて、壁一面に本がずらり。日本文学好きにはたまらないスペースです。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131801/13146659/

駒場東大前散策、なかなか密度の濃い時間が過ごせて、個人的にはかなりおすすめです。

花柳流四世宗家家元、花柳壽輔の構成・演出による「日本舞踊とオーケストラ」という公演に行ってきました。

日本舞踊とオーケストラ

鹿鳴館時代から大正ロマン、明治村から江戸川乱歩、オムライスやハヤシライスまで、和洋折衷好きの私には大変興味を惹かれる内容です。

ガーシュインやドビュッシー、ラベルなどのオーケストラ演奏をバックに、日本舞踊の舞が繰り広げられるという新しい試みの作品です。

http://www.t-bunka.jp/nichibu_orchestra2014/index.html

日本舞踏界の方たちだけでなく、ボレロはバレリーナの吉田都さんが主役を務められたり、宝塚からもゲストが招待されるなど、様々なジャンルの第一線で活躍される方たちとの共作という内容です。

演目によっては着物でなくドレスだったので、普段着物で隠されている女性の腕の動きがよく分かったのですが、これがとてもきれいだったのが印象的でした。私は日本舞踊もバレエもやったことはないので詳しくは分かりませんが、軸がぶれずに体の芯がしっかり通っていて、手足の動きが優雅なところ、計算された美しい動きなど、どちらにも共通するところが多いように思いました。「静」のイメージが強い日本舞踊が、西洋の音楽とどのように馴染むのか興味津々だったのですが、どの音楽にも見事に調和していたので驚きました。

最近、このような演目が増えているようですが、古典を、様々なジャンルの方たちと、様々な時代の芸術とミックスさせ、新しいものを作る試みはとてもすてきだと思いました。

銀座4丁目の名古屋商工会館にて、11月9日まで"The Mirror"というアートイベントが開催中です。

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http://the-mirror-ginza.com/outline/

銀座駅を降りてすぐ、和光近くの通りに建つ名古屋商工会館は、レトロな雰囲気たっぷりのすてきな建物ですが、残念ながら取り壊しが決まっているそうです。

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会期中は、その取り壊しになる直前の5階建てビル全部を使って、現代アート、建築、デザインなど様々な分野で活躍中のアーティストたちの作品を展示したり、参加アーティストたちを招いたレクチャーなどが開催されています。完全予約制で事前にチケットを購入した人しか入れないというシステムのため、混みあうことがなく、ゆっくりと作品を鑑賞したり、アートスペースを体感したりすることができます。

ビルの一部屋一部屋が展示室になっています。

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昭和レトロなドアや、フローリングの床など、とても趣のある空間に、現代アートの作品が不思議と調和しています。

名和晃平さんの作品
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土屋公雄さんの作品。
会議室の天井から、椅子がいくつもぶら下がっています。
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渡辺元佳さんの作品。
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流麻二果さんの作品
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アートな空間の本屋さんもオープンしています。
「おー!これは読んでみたい!」という、個人的に萌え萌えなマニアックな本がずらり。

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今回は、前にアトリエで一緒だった画家のフランシス慎吾さんがレクチャーに登場するとのことだったので、その日にあわせてチケットを予約してみました。

同じく画家の堂本右美さんとのジョイントレクチャーで、司会はイベントを総合プロディースされた清水敏男さんです。

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レクチャーが行われた部屋には慎吾さんの絵が一面に飾られていました。彼の作品における色は、描いた時の自分の感情を表現しているそうです。

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「ミニマリズムを通じ、70年代に絵の可能性は行きつくところまで行った。私たちはそこからスタートしている」とレクチャー中に話がありましたが、「絵は死んでいないと思う」という慎吾さんの言葉が心に残りました。

そして、今回も面白い書を発見しました!
以前、国立新美術館の毎日展で出会ったミロの書も衝撃でしたが、今回の書もかなりインパクト大でした。

ウッディ・アレン書 「おいしい生活」(1982年)

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糸井重里さんによるキャッチコピーで、アートディレクターの浅葉克己さんが手がけた西武百貨店のポスターに使われた作品です。

作品をじっくり鑑賞するというだけでなく、空間そのものを体感するという作品も多く、イベントスペースそのものがとても魅力的な展覧会でした。

アクセスも便利なので、現代アートにご興味のある方はぜひ。ただし、チケットは事前に購入しないと入れないのでご注意下さい。

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