来年の1月6日まで、東京都美術館で、「見る、知る、感じる―現代の書」展が開催されています。

公募団体で活躍する6名の作家を紹介する展覧会です。展示構成は2つに分かれ、前半は「見る、知る」書として漢字、仮名、現代詩文、後半は「感じる」書として、大字書や前衛書などの作品を紹介しています。

書道に親しみや興味のない方でも、「こんな書もあるんだ!」と、まさにタイトルの通り、作品を感じることのできる展示になっています。

金敷駸房先生の「槐多の瀧(部分)」。本一冊分がロール紙に書いてあります。1年かけて制作されたこの作品は、書いている時間を凝縮すると24時間約一か月ずっと書き続けたことになるとのことです。部屋いっぱいに、文字が流れるように展示してあります。
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菊山武士先生の「あめの記憶(部分)」。無限のバリエーションで「あめ」と書かれた小紙が壁一面に展示されいて圧巻です。

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学芸員の方が「この作品はぜひもう一度多くの人に見てほしいと思っていました」とおっしゃっていた、千葉蒼玄先生の「鎮魂と復活」。

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東北大震災のことが書かれている新聞記事が、15メートルのボードをびっしり埋め尽くしていますが、遠くから見ると、波が押し寄せてくるようです。どうやってこの壮大な作品を書いているんだろうと気になっていたら、「書いている時は幽体離脱をしているみたいに、上から作品全体を見ている自分がいる」と作家ご本人がお話されていました。

会場に数か所設置されているスクリーンには、各作家の方たちの制作風景が流れています。仮名の秋山先生の小筆の運筆が創造以上にゆっくりだったり、上記雨シリーズを菊山先生がものすごいスピードで「あめあめあめあめ」と一気に書かれていたり、他にもトークで制作のバックグラウンドを知ることができてとても興味深いので、こちらもお時間あれば御覧になることをおすすめします。

1111日 町屋文化センターで漢字勉強会がありました。講師は種家杉晃先生で、課題は顔真卿の「祭姪文稿」でした。先生がまず祭姪文稿の書き方の要点を話されたあと、受講者が家で半切に書いたものを添削していただきました。その後会場がせまいので、半紙で勉強しました。


祭姪文稿は蘭亭叙と並んで人気がありますが、草稿で他人に見せるために書いたものではないので、筆法や筆遣いが分かりにくく臨書をするのに苦労します。もっとも祭姪文稿からは、細かい筆法などではなくその気分の大きいおおらかさを学ぶのかもしれませんが。


ところで2019116日~224日 東京国立博物館で「顔真卿」展が開催されます。その時台湾故宮博物院にある「祭姪文稿」も展示され、いつもは印刷物でしか見られませんが、本物をみることができます。また、聴講には事前の申込が必要のようですが、127日(日)14時~15時 席上揮毫&トーク「古典を受け継ぐ現代の書」で石飛博光先生、鬼頭墨峻先生、仲川恭司先生が出演されます。


植村正 記

今年の第七十回「清和書展」では、特別揮毫「大きく書いてみよう!」を行います。中学生、高校生、大学生などの若手を中心に、書道パフォーマンスを行うというものです。12月15日の本番に向けて、8月7日に参加メンバーが集まり、練習会を行いました。その様子をご紹介します。

清和書展では初の試みですので、まずはどんな内容にするかを話し合っていきました。学生部の授賞式の後に行うので、子どもたちも見て楽しめる内容にしたいと考え、アイディアを出し合いました。その結果、「曲に合わせてその歌詞を書く」というパフォーマンスをすることになりました。曲は、多くの子どもたちが知っている、アニメの主題歌になりました。何の曲かは当日のお楽しみです。

パフォーマンス

歌詞を漢字かな交じり文で二×六の紙に書いていきます。漢字かな交じり文を書くこと自体が初めてというメンバーがほとんどでしたので、始めはどのように書くかとまどっていました。しかし、筆を二本持って書いてみたり、どの言葉を中心に書きたいかを考えて、様々な構成を試したりしているうちに、思い切って大きな動きで書けるようになってきました。曲に合わせて書く練習もし、この日の練習を終えました。今は、本番に向けて、各自練習を重ねているところです。

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今回の特別揮毫に向けては、練習用紙を多くの先生方に提供していただきました。本当にありがとうございました。参加メンバー一同、がんばって練習していますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただければと思います。


 (鈴木浩清記)

 

今年の10月に銀座セントラルミュージアムで開催された「書道芸術院秋季展」より、千葉蒼玄先生の作品「Labyrinth」。

100人が観たら、100通りの感じ方があると思いますが、何に見えますか?

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私には、塊をカポッと二つに割って開いた断面図みたいに見えました。
塊は、ある宇宙や異次元世界が凝縮されたもので、右のごつごつとした模様はその世界を覆っている外側の殻、左は宇宙の中身で古代人が踊ってるみたいなかんじです。

現代書はあまり馴染みのない方も多いと思いますが、既成概念にとらわれない様々な表現があるので、書道に詳しくない人でもアートを鑑賞する感覚で、作品を直に感じることができます。

11月18日から1月6日まで、上野の東京都美術館で、「上野アーティストプロジェクト2018~見る、知る、感じる、現代の書」展が開催されるので、現代書を鑑賞してみたい方にはぜひおすすめです。

「見る、知る、感じる、現代の書」展

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上述の千葉蒼玄先生も出品されます。
震災後の2013年に発表された作品「鎮魂と復活」のバージョンアップバージョンが展示予定とのことです。「鎮魂と復活」は、津波を表現した壮大な作品です。震災に関する新聞の記事から拾った文字で壁面が埋め尽くされています。

2013年 鎮魂と復活

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言語脳科学者の酒井邦嘉数氏が、2013年に「鎮魂と復活」を鑑賞した時のコメントを寄せているので、抜粋します。(『芸術を創る脳』東京大学出版会発行より)

「千葉さんは石巻市在住で、2011年の東日本大震災による津波で被災されました。作品を近くで見ると、震災に関する当時の新聞記事が、右から左へ、左から右へと、すべて墨で書き取られていて、全景が大きな波のようになっているのです。壮大なモニュメント(記念碑)です。

私はこの作品を前にして、自然と涙が溢れてきました。そこには、痛ましい震災の記事に目を背けることなく向き合い、人々に鎮魂の祈りを捧げ、そして創作に徹することで自らを奮い立たせようとする作者の姿が、はっきりと目に浮かんだからです~省略~こうした素晴らしい作品を「前衛」という枠で語ろうとすることに、私は疑問を感じました。現代の書は、文字性を失った絵画に近づいているということがよく非難されます。そして、書は芸術であるが美術ではないといった明治時代からの論争も根強くあります。なぜ、芸術を愛する人々が共通項で語ろうとしないのでしょうか」

今年の公募展に出品した和製ノアの方舟。動物は上野動物園にスケッチに行ったり、衣装はお祭りに参加している人たちの衣装を参考にしたり、なるべく自分の目で見たものを取り入れるようにしましたが、波の線や、家具や船の装飾などの紋様は、色々な資料を参考にしました。

2018国際墨画会公募展

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調べものをするにもけっこう時間がかかりますが、そんな時、デジタルアーカイブがとっても役に立ちます。海外の美術館や博物館のサイトはとても充実していて、ものすごく勉強になるし、なにより見てるだけで楽しいです。

こちらは、スミソニアン協会のデジタルアーカイブに保存されている、森雄山1903年発行の「波紋集」。

波紋集

上、中、下とすべて保存されていて、見ごたえたっぷりです。
波が実に多彩な線で表現されていて、モダンでお洒落!
これを見つけたのは、すでに作品を描いた後だったので、描く前に出会えていたら、また違う波になっていたかもしれません。

こちらは波紋集を紹介していたサイト。英語とスペイン語のみですが、写真を見ているだけでも楽しいです。

my modern met

こちらは大英博物館の「コレクションオンライン」。

大英博物館オンラインコレクション

国立国会図書館の「デジタルコレクション」。
「仮名名蹟全集」が保存されているので、これは本を買わずに、プリントアウトして練習に使えますね!(^^)!

国立国会図書館デジタルコレクション

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